遠隔読影サービスとは?必要な機器や導入すべき医療機関の特徴
日本国内では、人口一人当たりの画像診断装置数は世界一であると言われる一方、画像を正確に診断できる医師が長年不足している背景を前に遠隔読影サービスが普及しています。
遠隔読影サービスを提供する企業が増える中、どの企業の遠隔読影サービスを選べば良いのか、悩まれている医療機関も多いのではないでしょうか。
本記事では、遠隔読影サービスの実態について詳しく説明いたします。
サービスはどのような流れで行われているのか、具体的な運用方法、メリット・デメリット・費用、および、日本国内の法務的な観点(医師法)から遠隔読影サービスの立ち位置を分かりやすくご説明いたします。
遠隔読影サービスとは
遠隔読影サービスとは、病院やクリニック内の読影業務を企業や各種団体が外注業務として受託し医療機関に読影結果報告書を返送するサービスを指します。
“遠隔”とあるように、主に病院やクリニックで撮影されたCTやMRI等の医療画像を、インターネットを介して送受信し、読影結果報告書を依頼元医療機関に返送します。
前述した通り、遠隔読影サービスは医療機関から外注業務として受託し提供するサービスです。
遠隔読影事業者が、サービスを提供するにあたって必要不可欠な3つのポイントがあります。
- ①読影医師の確保
- ②システムの提供
- ③人材の確保
以下では、それぞれについて食わH市区解説していきます。
ポイント①読影医師の確保
まず、大前提として、医療画像の診断を行うには画像診断を専門とする医師が必要です。
そのため、遠隔読影事業者は適切な画像診断医を確保し日々の読影依頼に対応できるよう調整しています。
診療画像を扱っている遠隔読影事業者は放射線科専門医を中心に確保しています。
近年では、予防医療の観点から検診画像の依頼が市場で増えているため、放射線科に限らず、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、外科、眼科医師が所属しているケースも多いです。
日々ニーズは変化しており、検診画像に関しては専門領域の診療科医に読影をお願いしたいという声が強まっています。
また、医療機関より依頼される画像や波形データの領域が多岐にわたっており、読影医師を確保する力が遠隔読影事業者に求められています。
ポイント②システムの提供
読影医が大勢居たとしても、システムが整っていなければ医療機関から読影業務を受託することはできません。
遠隔読影システムに関して、詳細をお知りになりたい方はこちらをご参照ください。
一概に遠隔読影システムと言いましても、医療機関毎にシステムが違い、運用方法も違うためフレキシブルな対応を求められます。
そのため、独自のシステムを持つことで医療機関の運用ニーズに幅広く答えることが出来ます。
日々、医療機関のニーズに合わせて読影システムを改良することが、遠隔読影事業者の強みになるでしょう。
また、システムと似た側面から言うのであれば、セキュリティポリシーを医療機関側が求めるレベルに対応できるかどうかも重要です。
以下などは遠隔読影サービスを提供する上で必要なポイントになります。
- ・個人情報を匿名化しているのか
- ・遠隔画像診断のシステムはどのような方式を取っているのか
- ・データ通信はVPN通信に対応しているのか
- ・はたまた専用線を用いた通信も可能なのか
- ・医療機関が求めるセキュリティーポリシーに準じられるか
ポイント③人材の確保
遠隔読影サービスを支えているのは読影医だけではありません。
- ・適切にサービスを説明する営業スタッフ
- ・日々の依頼を正確に処理し医療機関と正しくコミュニケーションをとるオペレータースタッフ
- ・医療機関からの疑義照会に応じる専任スタッフ
- ・複雑な会計業務を処理する経理スタッフ
上記などのスタッフを適切に配置する必要があります。
小規模な遠隔読影事業者であれば、代表を務める医師が全ての業務を対応しているケースがありますが限界があります。
一般的な企業同様、人材の育成は不可欠です。
また、遠隔読影市場はニッチな市場のため汎用性の利く人材を確保することが困難です。
人材育成が全てにおいて重要と言えるでしょう。
関連記事:遠隔画像診断支援サービスとは?管理加算や施設基準について解説
遠隔読影サービス提供の流れ
では、どのように遠隔読影サービスは提供されるのでしょうか。
大まかに以下の5つのセクションがあります。
- ・依頼
- ・受付
- ・読影
- ・返却
- ・請求/支払い
以下では、一連の流れをご紹介します。
①依頼
医療画像を撮影した後、遠隔読影事業者から提供される読影依頼端末より送信を依頼します。
依頼送信の際には、診療もしくは検診の依頼なのか、モダリティ・依頼部位に相違が無いか、読影時に必要な付帯情報の添付、読影時の注意点に関してコメントを付与してから依頼送信。
検診画像の場合は、シングル読影なのか、オーバーリーディングによるダブル読影なのか、ブラインドによるダブル読影なのか読影方式を選択する必要があります。
②受付
依頼送信後、遠隔読影事業者で受付を行います。
医療機関から送信されたモダリティ、部位、読影方式に応じて、どの読影医に割り振るか検討しマッチングさせます。
至急や早期返却の依頼であれば各読影医の余力状況を考慮し優先的に割振り、医療機関の要望通りに結果報告書を返却できるように調整が必要です。
受付スタッフは読影医師の特徴や得意領域に関して熟知していることが条件です。
割振り後は、医療機関毎に指定された通常納期通り返却できるよう読影医をフォローします。
読影医より、読影中の質疑応答や緊急度の高い所見連絡があった際は、読影医に代わってオペレーターが医療機関に案内します。
③読影
依頼を割振られた読影医が読影を行います。
読影医の状況は、常勤先で勤務されている読影医もいれば、産休中の読影医、遠隔読影を専門としている読影医など様々です。
各読影医の状況や環境は様々なため契約読影納期に準じますが、どのタイミングで読影するかは読影医自身に委ねられています。
読影時には、依頼画像と共に送られてきた付帯情報や依頼コメントに目を通し、必要に応じて過去画像を参照します。
緊急度の高い内容や、追加の画像や情報が必要な際はオペレータースタッフに連絡をします。
その日のうちに全てを読影される読影医もいらっしゃれば、納期通りに読影される読影医の方もいらっしゃいます。
④返却
読影終了後に、読影結果報告書を医療機関に返却します。
依頼システムによっては束(複数の依頼をまとめて)での返却や、読影完了後に依頼毎に返却する方式があります。
検診画像では束での返却運用、診療画像では依頼毎の返却運用が一般的です。
遠隔読影事業者によっては、人工知能やレポートシステム側のチェック機能を強化し読影結果報告書に軽微なミスが無いよう対策を施しています。
返却前の査読を実施している遠隔読影事業者もいらっしゃいますが、全依頼の査読チェックの実施は困難です。
結果報告書返却後に疑義照会があれば、大抵の遠隔読影事業者は再読影として再依頼を受けます。
再読影に関しては無償を選択している事業者が大半です。
⑤請求/支払
遠隔読影事業者の請求/支払業務は非常に煩雑です。
各医療機関との契約体系や使用しているシステムが一律でないことが多く、特殊条件の契約が多いのも事実です。
同様に、契約読影医への支払も複雑化しており、遠隔読影事業者が抱える課題の一つになっています。
遠隔読影サービスの注意点
遠隔読影サービスを導入するメリットやデメリットについては以下記事を参照ください。
遠隔読影事業者の視点でサービスの導入に関する注意点をお伝えします。
以前の担当読影医と比較されやすい
遠隔読影サービスを導入するきっかけとして、医師の高齢化や、退職、非常勤運用からの改善、遠隔読影会社の変更が挙げられるでしょう。
遠隔読影サービスを導入することで、読影リソースの確保という目的を達成することができますが、院内のドクターは以前の担当読影医と比較して評価されます。
以前の担当読影医と全く変わらない読影結果報告書にすることは不可能です。
対策として、現状のレポート内容を遠隔読影事業者に情報提供することで対策を練ることが出来ます。
また、疑義照会を細やかに行うことも重要です。
特に導入初動は院内ドクターからの意見をフィードバックするようにしてください。
読影事業者側でも担当読影医に周知し書き方や所見の拾い方を調整することが可能です。
遠隔読影サービスは院内読影に劣る
遠隔読影サービスは読影リソースを確保できるため、大変有意義なサービスです。
一方で、院内で行われる読影品質と全く同じものを提供できるかというと、そうではありません。
遠隔読影サービスは、依頼元医療機関から提供される医療画像と依頼情報を元に読影しますが、院内では細やかな既往歴、検査歴を確認することが出来ます。
院内読影と遠隔読影では情報量に圧倒的な差が出てしまうのが現状です。
そのため、読影依頼時に読影医が必要とするであろう付帯情報を細やかに記載して下さい。
読影依頼内容を明確に書くことが重要です。
”腹痛”、”熱源精査”、”スクリーニング”、などこのような端的な依頼内容ですと、読影に支障が出てしまいます。
ご依頼されるドクターがどの様な目的で読影依頼をしたいのか、外傷であればどの部位の外傷なのか、院内であれば簡単にわかる情報が遠隔読影では分かりません。
その点を踏まえた上で遠隔読影を導入する必要があります。
株式会社は診療行為を行えない
遠隔読影サービスにおいて、診療行為(読影)を提供しているのは遠隔読影事業者と思われがちですが、医師法上、株式会社は診療行為を行えません。
実際の診療行為を行っているのは、遠隔読影事業者が契約している読影医です。
遠隔読影事業者が行っている業務は、依頼元主治医から提供される依頼画像と、契約読影医のマッチング業務、及び契約読影医が作成した結果報告書のとりまとめ業務になります。
なお、医師免許が無い限り内容の改変や訂正は出来ません。
読影内容や診断内容に関しては、遠隔読影事業者と契約している読影医師にあることを覚えておきましょう。
注意点まとめ
筆者の視点から述べるのであれば、遠隔読影サービスを選択するのは最後の手段です。
私が病院経営者であればファーストチョイスはしません。
まずは、人員を募集し、院内の医師に読影を依頼できないか確認し、万策尽くしたうえで、読影リソースを確保することができない場合の最終選択肢と捉えることをお薦めします。
また、遠隔読影サービスは院内読影に劣る事を踏まえて、読影結果報告書の院内確認を必ず実施してください。
遠隔読影事業者に既往歴や読影に必要となる情報を積極的に提供することで結果報告書の品質を向上することができます。
関連記事:DWIBS(ドゥイブス)に欠点はある?費用やPET-CTとの違いを解説
遠隔読影サービスにかかる導入費用・料金
では、遠隔読影サービスの導入コスト(初期費用)や料金の相場はどの程度でしょうか。
導入コスト(初期費用)
初期費用は、依頼送信端末機能と院内システムとの連携構築内容によって異なります。
依頼端末一式(依頼PC・VPNルーター)
院内システムと弊社読影センターと接続するための機材です。
院内システムとの接続、インターネットVPN通信を可能とします。
費用は250,000円程度が相場です。
既存PC、ソフトVPNであれば費用は発生しません。
院内PACS DICOM画像連携
医療画像を保管している院内PACSより画像をスムーズに取得するシステム構築です。
送信側依頼端末、院内PACS側双方に接続費用が発生し、1接続150,000円~500,000円が相場になります。
2接続相当分の費用が発生します。
院内レポート連携
送信側から返却された報告書を院内に配信するシステムに自動反映するシステム構築です。
院内レポートシステムの仕様に沿ってインポートする形式になります。
各社調整費用を含め、800,000円前後が相場になります。
自動依頼連携
送信側に設置した依頼端末を直接操作することなく、電子カルテシステムやオーダリングシステム上から依頼送信するシステム構築です。
各社調整費用を含め800,000円~2,000,000円が相場です。
読影サービス料金
読影依頼する検査毎に読影費用が発生します。参考までに弊社の読影サービス料金の一例をご案内します。
ただし、以下料金は弊社”ラジドク”システムを使用されるユーザー様に提供を限ります。
ご承知おきください。
- ・月額基本料金・・・30,000円/月(税別)
診療
- ・CT/MRI画像・・・2,500円/件(税別)
※一症例あたり。部位・スライスカウント無し。
検診
- ・胸部CR・・・180円/件(税別)
- ・胃部RF・・・290円/件(税別)
- ・MMG画像・・・600円/件(税別)
- ・眼底画像・・・280円/件(税別)
- ・CT/MRI画像・・・1,800円/件(税別)※肺がんCT、脳ドックMRIに限る
- ・DWIBS・・・5,000円/件(税別)
- ・各種US・・・600円/件(税別)
遠隔読影サービスを導入すべき医療機関の特徴
以下の課題を抱えている、医療機関が遠隔読影サービスの導入に適しています。
読影リソースの不足
遠隔読影サービスを導入することで、院内で保有している読影リソースを拡充し専門医による読影サポートを受けることができます。
これにより、院内医師の読影負担軽減、検査装置の拡充、検査数増加が見込めます。
各種専門医の知見
遠隔読影サービスを導入することで、専門医の専門知識を持つ者が、遠隔地域や小規模医療機関でも活用できるようになります。
これにより、専門医の不足がある地域でも高品質な診断を提供できる可能性が高まります。
費用削減
常勤読影医を雇用する財政資源を確保する上で、医療機関には一定の検査数を実施する必要があります。
しかし、無尽蔵に検査を実施できないため、全ての医療機関で常勤読影医を直接雇用できません。
遠隔読影サービスは、検査毎に費用が発生するため直接雇用の固定費を変動費に置き換えることが出来ます。
直接雇用と比較して運用コストを削減できる可能性があります。
関連記事:遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説
遠隔読影サービスの導入の流れ
遠隔読影サービスと院内システムをどの様に接続する必要があるのか確認が必要です。
まず、撮影オーダーからレポート記載迄の全体の流れを把握し、どのパートに遠隔読影システムを組み込んで運用するかを検討する必要があります。
確認のポイントは以下の通りです。
A:院内PACS連携(目安:2~3週間程度)
- ・接続側PACSメーカーの確認
- ・接続方法(QR/ST)の確認
- ・DICOMコンフォーマンスの確認
B:院内レポート連携(目安:1.5ヶ月)
- ・返却先システムの確認(レポートシステム/健診システム/電子カルテ等)
- ・返却するファイル形式の確認(PDF/CSV/XML等)
- ・DICOMコンフォーマンスの確認
- ・仕様書の確認、および遠隔読影システム側、もしくは返却先システム側の仕様書で運用するか選択。
- ・必要に応じて開発
C:自動依頼連携(目安:2か月)
- ・依頼情報元システムの確認(RIS/健診システム/電子カルテ等)
- ・仕様書の確認、および遠隔読影システム側、もしくは返却先システム側の仕様書で運用するか選択
- ・必要に応じて開発
A~Cを組み合わせて運用するイメージです。
それぞれに接続先システム会社が異なるケースが大半のため、一概に断定的な期間を規定するのは困難です。
全てのシステム連携を実装する場合3ヵ月程度は見込みましょう。
なお、院内システムと連携せずに運用するのであれば、お申込み頂いた後、3日程度でサービスを開始することができます。
遠隔読影サービスを選ぶときのポイント
遠隔読影サービスを提供している企業にも得意/不得意な分野が存在しています。
医師を多く抱えて至急読影を迅速に行なえる企業もあれば、24時間365日で読影サービスを実施している企業もあります。
まずは、遠隔読影サービスに依頼したい内容を精査し当てはまる読影会社を探すことが先決です。
また、以下などを確認することをお薦めします。
- ・自社で遠隔読影システムを保有しているか、していないのか
- ・依頼したい検査に対応しているか
- ・将来依頼する可能性がある検査に対応しているか
- ・サポートを受けたい診療科の専門医が所属しているか
遠隔読影サービスの導入には、院内の運用に遠隔読影サービスを組み込む必要があるため、導入のコンサルテーションをしっかりと行なえる企業がお薦めです。
コンサルテーションを保有システム企業に委ねていたり、病院の要望任せにする企業はお薦めしません。
院内システムの知識に精通した専任の営業スタッフがいる企業は安心できるでしょう。
料金先行で遠隔読影サービスを選定するのはリスクが伴います。
関連記事:乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査の違い|仕組み・メリットを解説
8.YKR medical laboは遠隔読影サービス「Ragi-Dock(ラジトク)」を提供
YKR medical labo株式会社では、医療機関様向けに遠隔読影支援サービスを提供しています。
放射線科の枠を越えて、各種診療科専門医と契約し、健診に特化した読影支援サービスを展開しています。
もちろん、診療分野にも対応しています。
超音波・心電図・眼底・内視鏡の読影にも対応しており、検査科領域の読影支援サービスを強化しています。
システムを自社保有し、健診センターの運用に寄り添ったサービスの案内が可能です。
導入コンサルテーションに10年以上携わっている営業スタッフが複数在籍し、遠隔読影サービスの導入支援を行っています。
詳しくはお問合せ下さい。
記事監修者紹介
監修者
顧問医 不破 英登
【経歴】
- 2009 愛知医科大学医学部医学科
- 2009 津島市民病院
- 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
- 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
- 2018 豊田若竹病院 放射線科
- 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
- 2021 YKR medical consult 代表就任
【資格】
- 産業医・放射線科診断専門医
乳がんの超音波検査の費用やメリットを解説|マンモグラフィーは受けない方がいい?
近年、増加傾向にある乳がんは他のがんと比べて、比較的若い年齢で発症することが多いです。
乳がんを見つける代表的な検査としてマンモグラフィー検査がありますが、近年、乳腺超音波検査を実施する施設が増えています。
健診メニュー追加を検討されている施設様も多いのではないでしょうか。
乳がんの超音波検査の仕組みとメリットをマンモグラフィー検査と比較しながら、遠隔読影企業/診断医の視点でご説明いたします。
乳がんの超音波検査の仕組みとは
乳がんの超音波検査では音波を用いた非侵襲的な検査法で、乳房内部の状態を観察するために使用されます。
跳ね返りの音波を受信して、その波形をコンピューターによって画像化することで、内部の組織や器官の状態を見ることが可能です。
方法としては超音波プローブを乳房表面に当てて、乳房内部の組織をスキャンします。
プローブから発せられる超音波は、乳房内部の組織の密度や硬さによって反射され、それを受信機が受け取ってコンピューターによって画像化するのです。
超音波画像は、乳房内部の病変や異常な組織、嚢胞などを発見するために使用されます。
また、乳がん検査のほか、乳房の疾患や症状の原因を調べるためにも使用されます。
乳腺超音波検査は被ばくの心配がなく、痛みが少ないことから、若い女性や妊娠中の女性にも推奨される検査です。
また侵襲が低く簡便であるため、マンモグラフィー検査やMRI検査と併用することが推奨される場合があります。
関連記事:全身がん検査に使われるDWIBS(ドゥイブス)とは?費用や欠点を解説
乳がんの超音波検査のメリット
乳がんの超音波検査のメリットには以下のようなものがあります。
被ばくの心配がない
乳腺超音波検査は、X線を使用しないため被ばくの心配がありません。
特に若い女性や妊娠中の女性などの被ばくに敏感な人にとっては安心感があります。
痛みが少ない
マンモグラフィー検査のような挟み込む感覚がないため、痛みが少ないとされています。
高い解像度
乳腺超音波検査は、乳腺組織や嚢胞、腫瘤などを、高い解像度で画像化することができます。
そのため、病変の大きさや位置、形状、組織の性質などを詳細に確認することができます。
検査時間が短い
検査時間は、10分程度で終了するため、簡単に調べることができます。
併用が可能
マンモグラフィー検査やMRI検査など他の検査との併用が可能で、より正確な診断につながることがあります。
以上のように、乳腺超音波検査は、被ばくの心配がなく痛みが少なく、高い解像度で画像化できるため、早期発見や病変の評価に役立ちます。
また、併用が可能なため、より正確な診断につながる場合があります。
乳がんの超音波検査の費用は?
乳がんの超音波検査のみの費用はだいたい3,500円~4,500円ほどとなっています。
また、乳がん検診で併用されやすいマンモグラフィー検査が5,000円~6,000円前後、触診や視診などと併せて全部で10,000円程度となることが多いです。
これらに加え診察やその他のケアなどが発生した場合、乳がん検診全体で15,000円~20,000円ほどになる場合もあるということを覚えておくとよいでしょう。
関連記事:遠隔読影とは?サービスを選ぶ上でのポイントや料金相場を解説
マンモグラフィーは受けない方がいい?超音波との違いとは
結論から言うと、より精度の高い検査を行いたい場合は超音波検査とマンモグラフィーの両方を受けることがおすすめです。
マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査は、ともに乳がんの検査に用いられる検査方法ですが、それぞれの違いは以下の通りです。
原理
マンモグラフィー検査は、乳房を圧迫してX線を照射し、その画像を撮影することで乳腺の組織を評価する検査です。
乳腺超音波検査は、超音波を用いて乳腺内部の組織を見ることで異常を検出する検査です。
効果
マンモグラフィー検査は、微小な石灰化の検出に優れており、特に50歳以上の女性においては乳がん検診の基本的な検査法とされています。
乳腺超音波検査は、マンモグラフィーに比べて腫瘍の形状や性質をより詳しく調べることができ、若い女性や乳腺の密度が高い女性においては有効な検査法とされています。
検査方法
マンモグラフィー検査は、乳房を圧迫するために特殊な機械を使用します。
検査時には、女性は上半身裸になり、乳房を機械のプレートに挟み撮影するため乳房が圧迫され痛みがあります。
乳腺超音波検査は、プロープにジェルを塗布し、プロープを乳房に当てながら画像を描出するため、乳房が圧迫されず、痛みが発生しにくい検査です。
総じてマンモグラフィー検査は、乳がんの早期発見に有効な検査であり、乳腺超音波検査は、マンモグラフィー検査と比較して、若い女性や乳腺の密度が高い女性において有効な検査であることが知られています。
ただし、どちらの検査も乳がんの診断には限界があり、必要に応じて追加の検査が必要となる場合もあります。
乳腺超音波検査は検診に適しているか
乳腺超音波検査は、乳がんの早期発見に有効な検査方法の1つです。
特に、乳腺が密集している場合や乳がんが小さい場合には、マンモグラフィー検査よりも高い検出率を示す場合があります。
また、マンモグラフィー検査が難しい若い女性や妊娠中の女性、乳房の形状が規則的でない女性などにも、有効な検査方法です。
ただし、乳腺超音波検査は、マンモグラフィー検査と比較して、過剰診断(良性病変を要精査としてしまうこと)が高くなる傾向があるため、健康診断での単独検査よりも、マンモグラフィー検査との併用が推奨されることがあります。
また、マンモグラフィー検査、超音波検査のいずれも、検査者の技量により検査の質が左右されますが、超音波検査の方がより顕著です。
特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する「検診マンモグラフィー撮影認定診療放射線技師」、「乳がん検診超音波検査実施技師」による検査の実施が望まれます。
関連記事:マンモグラフィの読影医とは?認定試験の合格率やランクについて解説
乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査を検診時に併用するメリット
乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査は、検診時に併用することが可能です。
実際に、乳がんの早期発見のためには、マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査を併用することが推奨されています。
マンモグラフィー検査は、X線を用いて乳腺の画像を撮影する検査で、乳がんの早期発見に効果があるとされています。
一方、乳腺超音波検査は、音波を用いて乳腺の内部を観察する検査で、マンモグラフィー検査では検出できなかった乳がんを発見できることもあるためです。
また、同時に病変の性状評価も可能で、不要な精査や過剰診断を減らすことも可能です。
併用することで、マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査それぞれの長所を生かすことができ、より精度の高い検査結果が得られるため、両方の検査を受けることが推奨されます。
乳がん検診超音波検査画像を判読する医師に専門資格はあるか
現在、日本には乳腺超音波検査画像に関する専門医資格はありません。
しかし、特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する「乳がん検診超音波検査実施・判定医」という認定医制度はあります。
その他、日本乳癌学会や日本超音波学会などが乳腺超音波講習会を実施しています。
それらを受講することで、乳腺超音波検査画像の専門知識や技術を習得することが可能です。
これらの資格を持った医師が、乳がん検診の超音波検査画像を読影することが一般的です。
ただし、検診の場合は、資格を持った医師が直接画像を読影するわけではなく、遠隔読影会社に画像を送信して判定を行ってもらうことが一般的でしょう。
遠隔読影も、専門的な知識や技術を持った医師が診断を行うことが求められます。
関連記事:遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説
まとめ
乳腺超音波検査は被爆の心配が無く、痛みが少なく、高い解像度があり、検査時間が短いというメリットがあります。
マンモグラフィー検査と比べて腫瘍の形状や性質をより詳しく調べることができ、若い女性や乳腺の密度が高い女性においては有効な検査法です。
ただし、マンモグラフィー検査は、微小な石灰化の検出に優れており、特に50歳以上の女性においては乳がん検診の基本的な検査法と言えます。
2つの検査は併用することが可能で、併用することにより、マンモグラフィー検査のみでは検出できなかった乳癌の発見や、不要な精査や過剰診断を減らすことも可能です。
検診を受けるのであれば、乳がん検診超音波検査実施技師、専門資格/認定医が所属し、適切な精度管理がされている検診施設を選ぶ必要があります。
検診施設が遠隔読影企業に依頼するのであれば、マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査に長けた診断医/認定医が所属しているか確認が必要です。
記事監修者紹介
作成者
放射線診断専門医・指導医 澤田 裕介
保有資格・認定】
- 放射線科専門医、指導医
- 放射線科診断専門医、指導医
- 日本核医学学会専門医、指導医
- PET核医学認定医
- アミロイドPET読影認定医
- 脈管専門医
- 腹部ステントグラフト実施医、指導医
- 胸部ステントグラフト基礎経験修了
- 肺がんCT検診認定医
- がん検診学会認定医
- マンモグラフィ読影認定医
- 乳がん検診超音波検査実施・判定医
- 弾性ストッキング圧迫療法コンダクター
- Ai認定医
- 認知症サポート医
- 核医学内容療法講習会 修了
- 難病指定医
- 臨床研修指導医
- マイクロスフィア塞栓術実施医
- 医学博士
遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説
遠隔画像診断とは、病院やクリニックで撮影されたCTやMRI等の医療画像をインターネットを介して遠隔地へ送信し、離れた場所にいる専門医が診断する仕組みのことです。
医師不足が深刻化する日本において、離れた場所にいても専門医による画像診断が受けられるというメリットもあり導入が進んでいます。
本記事では、遠隔画像診断に用いられるシステムはどういった仕組みになっているのか、システムの種類や気になる料金、どういった医療機関への導入が向いているのかも含めて詳しく解説します。
遠隔画像診断システムの仕組み
遠隔画像診断システムは依頼送信端末と読影サーバーに分かれ、それぞれ特有の機能を有しています。
依頼送信端末の主だった機能として、DICOM接続機能、依頼画像管理機能、受診レポート管理機能、匿名化機能が挙げられます。
読影サーバーの主だった機能としては、依頼画像管理機能、DICOMビューワー機能、レポート機能です。
画像送信する依頼元医療機関に依頼送信端末を設置し、受信する側の読影事業者や医療機関に設置されている読影サーバーにインターネット回線もしくは専用線を介して医療画像を送信します。
VPN通信を行うのが一般的です。
医療画像を受信後、読影事業者や医療機関で専門医による画像の読影および診断が完了すると、その結果を報告書として送信元医療機関の依頼送信端末へ返却します。
なお、上記は各医療機関やセンターに自前のサーバーや専用機器を設置する場合の仕組みですが、近年ではクラウドに対応した遠隔画像診断システムも登場しており、この場合は自社サーバーや専用機材がなくてもインターネットに接続されたパソコンさえあれば、すぐに始めることが出来ます。
関連記事:遠隔読影とは?サービスを選ぶ上でのポイントや料金相場を解説
遠隔画像診断システムの種類
上記でも簡単に紹介しましたが、遠隔画像診断システムは大きく分けて専用機器を設置するオンプレミス型と、クラウド上のWebサーバーに接続して利用するクラウド型の2つがあります。
それぞれの特徴を詳しく解説しましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型は、受信側で所有している読影システムのクライアント端末を、送信側医療機関に設置することで医療画像をやり取りする方式です。
セキュリティの観点から見ると、送信側と受信側をVPN接続や専用線で接続することは勿論のことですが、送信側と受信側がダイレクトに繋がる方式になるため、受信側のセキュリティ環境や防弱性リスクに細心の注意を払う必要があります。
また、専用機材の用意や、専用回線を準備する必要があるため導入に時間を要します。
実際に利用をスタートできるまで数週間以上の期間を要することが多いです。
クラウド型
クラウド型の遠隔読影システムは、インターネットに接続できるPCがあれば直ぐに始められます。
導入にあたって専用機器の設置や設定作業は不要で、最短数日で利用をスタートできるのが強みです。
セキュリティの観点からすると、送信側はクラウド側に接続する方式となるためクラウドサーバーのセキュリティに準じます。
送信側がどこのクラウドサーバーを使用しているのか、パブリッククラウドと言われるAWS・Google・oracle等を使用しているのか、サーバーが国内にあるのか確認する必要があります。
送信側のセキュリティ状況に左右されない点は大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、クラウドサーバーがダウンしている時間ではサービスが停止する点には注意する必要があります。
遠隔画像診断システムを導入することによるメリット
遠隔画像診断システムを導入することで、医療機関にとってはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
遠隔地から画像診断が可能
医療業界は深刻な人手不足に陥っており、特に画像診断のスペシャリストである放射線科医は多くの医療機関で不足しています。
放射線科医が不在の医療機関では、患者の状態や病気の進行度合いを医療画像から総合的に診断を行うことが難しくなります。
しかし、遠隔画像診断システムを導入することにより、離れた場所にいる放射線科医が医療機関に赴くことなく画像診断することが可能です。
また、依頼する医師が不在の医療機関でも遠隔読影事業者に読影サービスを外注することが出来ます。
放射線科医が不足している医療機関でも画像診断機能を充実させる事が可能です。
検診読影のダブルチェック機能
検診受診者が増加傾向にある中で医療機関の読影業務負担も増加傾向にあり、ダブルチェックが求められています。
一方で、結果報告書の納期を延ばすことは難しく、検診機関としては結果報告書の早期返却がブランド化している傾向もあります。
遠隔画像診断システムを導入することで、医師が来院する院内の読影体制から医師の自宅・勤務先からの読影体制に移行することが可能です。
院内読影と遠隔読影を併用する医療機関も増えています。
読影領域の充足
検査数の少ない医療画像の診断を賄うために専門医を雇用するのは不可能です。
また、非常勤医師は勤務が不安定な傾向があるため、充足させる課題を抱えている医療機関も多いのではないでしょうか。
遠隔画像診断システムを導入し、読影サービスを契約することで院内の読影領域を充足することが出来ます。
読影サービスを提供している事業者は、放射線科領域にとどまらず、眼底画像、OCT画像、内視鏡画像、超音波検査画像、心電図の読影に対応しており検討する価値があります。
関連記事:遠隔読影とは?サービスを選ぶ上でのポイントや料金相場を解説
遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関
遠隔画像診断システムは医療機関が抱えるさまざまな問題を解決できます。
具体的にどういった医療機関にシステム導入が向いているのでしょうか。
放射線科医が不在の医療機関
上記でも紹介してきた通り、画像診断医が不在の医療機関でも遠隔画像診断システムを導入することで、離れた場所にいる放射線科医に画像診断を依頼することが可能です。
医療画像のプロフェッショナルによるサポートを受けられるため、診察に当たっているドクターの負担を軽減することが出来ます。
受診者数が増えている健診センター
日本国内の人口は減少傾向ですが、予防医療の受診者は増加傾向にあるため、受診者数が増加傾向の健診センターも多いのではないでしょうか。
繁忙期と閑散期の差が激しく診療体制を整備するのは困難です。
遠隔画像診断システムと読影サービスを契約し体制強化を図ることが出来ます。
遠隔画像診断システムにかかる料金や費用
遠隔画像診断システムの導入はさまざまなメリットが得られることがわかりましたが、導入にあたってネックとなるのがコストの問題です。
システム導入にあたっては、大きく分けて導入時にかかる初期費用と、毎月発生するランニングコストの2種類があります。
それぞれどの程度のコストがかかるのか、詳しく見ていきましょう。
導入コスト (初期費用)
初期費用は、依頼送信端末機能と院内システムとの連携構築内容によって異なります。
院内PACS DICOM画像連携
医療画像を保管している院内PACSより画像をスムーズに取得するシステム構築です。
送信側依頼端末、院内PACS側双方に接続費用が発生し、1接続150,000円~500,000円が相場であり、2接続相当分の費用が発生します。
院内レポート連携
送信側から返却された報告書を院内に配信するシステムに自動反映するシステム構築です。
院内レポートシステムの仕様に沿ってインポートする形式になります。
各社調整費用を含め、800,000円前後が相場です。
自動依頼連携
送信側に設置した依頼端末を直接操作することなく、電子カルテシステムやオーダリングシステム上から依頼送信するシステム構築です。
各社調整費用を含め800,000円~2,000,000円が相場です。
依頼送信端末を購入する必要があれば、別途購入が必要です。
院内システムと連携を実施する際は、院内と院外のネットワークを仲介する必要があるため、GW機能(LANポート2つ)を有したPCを用意する必要があります。
事業者によっては依頼端末を貸出している場合もあります。
なお、システム連携は必須ではないため、手動操作であれば初期費用を抑えることが可能です。
クラウド型であれば初期費用が発生しないサービスもあります。
依頼送信件数が多い場合はシステム連携を検討する必要があるでしょう。
上記の金額はあくまでも相場であり、設置場所やその他条件によっては、別途配線工事や設置費用、設定費用などがかかる場合もあります。
ランニングコスト
オンプレミス型とクラウド型の違いで費用項目と相場が異なります。
オンプレミス型
月額基本料:5万円程度
クラウド型
月額基本料:3万円程度
従量課金:(例)CT/MRI400円/件(税別)
※従量課金が発生しないクラウド型遠隔読影システムもあります。
いずれのタイプも毎月3~5万円程度の月額基本料を支払う必要があり、クラウド型であれば画像診断の件数ごとに従量課金が請求されるケースもあります。
関連記事:全身がん検査に使われるDWIBS(ドゥイブス)とは?費用や欠点を解説
遠隔画像診断システムを選ぶ際のポイント
遠隔画像診断システムはさまざまな企業が提供しており、選ぶシステムによっても料金や導入プロセスなどが異なります。
どのような基準でシステムを選定すべきか、特に押さえておきたいポイントを紹介しましょう。
オンプレミス型かクラウド型か
院内に設置している画像サーバー側に遠隔画像診断機能を有しているケースもあります。
一度、使用している画像サーバーメーカーに問い合わせることがおすすめです。
ただし、新たに画像サーバーのクライアント端末を導入する必要があるため初期費用が大きくなる傾向があります。
クラウド型は導入まで時間が掛からず導入コストを低く抑えることが出来るため、お急ぎであればクラウド型を選択することを推奨します。
セキュリティ対策は万全か
遠隔画像診断システムでは、患者の医療画像という極めてセンシティブな個人情報を扱います。
万が一、患者の個人情報とともに画像が漏えいした場合、医療機関は重大な責任を問われることになります。
そのため、遠隔画像診断システムの選定にあたっては、万全のセキュリティ対策が講じられているかを確認し信頼性の高い事業者を選ぶことが大切です。
一般的に、オンプレミス型よりもパブリッククラウドを使用したクラウド型システムの方がセキュリティが高いと言われています。
また、依頼端末からクラウドまでの通信経路をどの程度セキュリティー担保しているか確認してください。
匿名化を実施しているかということも重要なポイントです。
ソリューション力
医療機関には様々な医療システムが導入されており、撮影オーダーからレポート配信までの運用方法も多岐にわたります。
特に、検診読影の運用は独自性が強い傾向があります。
部位・所見マスターを統一しているのか、受託事業所毎にマスター管理しているのか、画像と受診者情報をどのようにマッチングしているのか、各施設ごとに違うため一つのパッケージに納めることは困難です。
そのため、運用方法を熟知した企業を選択することが重要になります。
健診センターの導入事例があるか、どの程度の知識を担当者が有しているか商談しながら見極めましょう。
読影サービスを提供しているか
将来的に読影業務の外注を検討しているのであれば、遠隔画像診断システムと読影サービスを提供している事業者を選択しましょう。
読影事業者が設計した遠隔画像診断システムは遠隔読影の運用に特化しているため安心できます。
また、対応できる読影サービスメニューも事業者ごとに異なるため注意が必要です。
YKR medical laboはORACLEクラウドを活用した遠隔読影システムを提供
遠隔画像診断システムの選定に迷っている、または選定したシステムで本当に問題がないか不安に感じる方は、ぜひYKR medical laboへご相談ください。
YKR medical laboでは、以下5つの遠隔読影システムから選択でき、自社でもシステムを保有しています。
導入経験豊富なスタッフが各医療機関が抱える課題に応じて最適なシステムを提案させていただきます。
Virtual-RAD(株式会社ドクターネット)
プライバシーマークとISMS認証を取得済で高度なセキュリティ体制を確保。
国内2拠点にデータセンターがあり、災害時にも大切なデータを保全します。
LOOKREC(エムネス株式会社)
Googleプラットフォームを活用したクラウド型遠隔読影システム。
他社と比較して圧倒的にスピーディーな診断が可能です。
RULA(株式会社neo)
Microsoftプラットフォームを活用したクラウド型遠隔読影システム。
Microsoftの知見を活かした強固なセキュリティとデータセンターによって支えられています。
RS_Base(株式会社Medical-In)
3,000施設を超える病院やクリニックへの導入実績があり、血液データや患者情報、動画・画像のデータをファイリング可能です。
Radi-Doc(YKR medical labo株式会社)
oracleクラウドを活用した最新の読影システム。
匿名化機能を依頼端末に実装しており、検診の運用に特化した遠隔読影システムです。
まとめ
遠隔読影システムを導入する際には、オンプレミス型かクラウド型いずれかのタイプを選択したうえで、利用するシステムのセキュリティやコスト、読影サービス機能などを総合的に評価することが大切です。
システム選定に不安がある、またはITシステムの導入や運用ノウハウがなく困っている医療機関の担当者は、YKR medical laboへご相談ください。
記事監修者紹介
監修者
顧問医 不破 英登
【経歴】
- 2009 愛知医科大学医学部医学科
- 2009 津島市民病院
- 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
- 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
- 2018 豊田若竹病院 放射線科
- 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
- 2021 YKR medical consult 代表就任
【資格】
- 産業医・放射線科診断専門医
遠隔読影とは?メリットや料金相場を徹底解説
私たちの健康を支えていくうえで、高品質の医療サービスは欠かせない存在です。
医療の世界は日々進化しており、なかでも検査の手法は多様化しています。
病気の治療にあたっては早期発見が重要であり、そのためにCTやMRIといったさまざまな機器が用いられます。
医療業界において、「遠隔読影」とよばれる新たなサービスが注目されていることをご存知でしょうか。
本記事では、遠隔読影とはどういったサービスなのか、注目されている理由や選び方のポイントなどもあわせて解説します。
遠隔読影とは
遠隔読影とは、病院や検診施設などで撮影されたCT画像およびMRI画像などのデータを、オンラインで遠隔の施設へ送信したうえで、専門医による画像診断を行う一連の流れを指します。
一連の流れにはシステムの側面と、画像診断の側面があります。
「遠隔の施設」とは、遠隔読影を提供している民間の企業やNPO法人などです。
また、「遠隔読影」を含む用語が複数あります。
例えば、「遠隔読影“システム”」は一連の流れを実現させるためのシステムを指し、「遠隔読影“サービス”」および、「遠隔読影“支援サービス”」は、システムと読影が一体となったサービスを指します。
何故、「遠隔読影」は必要とされているのでしょうか。
病院やクリニックのなかには、内科医や外科医といった専門医は常駐しているものの、放射線科のような画像診断を専門とする医師が不在のところも少なくありません。
そこで、遠隔読影を導入することにより、読影医(放射線科医など)がいなくてもCT画像やMRI画像をもとに高度な医療を実現できるようになります。
関連記事:全身がん検査に使われるDWIBS(ドゥイブス)とは?費用や欠点を解説
読影や遠隔画像診断との違い
遠隔読影と似た概念として「読影」や「遠隔画像診断」があります。
これらはどういった違いがあるのか、混同しがちなポイントを含めて詳しく解説しましょう。
読影との違い
読影とは、医療画像を1枚ずつ医師の目で見て診断することを指します。
そのため、医療機関で読影を行うためには、病院やクリニックに読影医(放射線科医など)がいる必要があります。
これに対し遠隔読影は、システムを通じて離れた場所から医師が画像診断を行い、その結果をオンラインで通知してくれるものです。
そのため、院内に読影医が不在の場合でも医療画像の専門的見解を主治医が知ることができるのです。
遠隔画像診断との違い
遠隔画像診断は、遠隔地での画像診断を行うという点では遠隔読影と似た概念といえます。
しかし、遠隔画像診断は、診療報酬の中で定義付けされている行為であり、管轄の厚生局へ「遠隔画像診断施設基準の届出」を済ませている医療機関の間でのみ行えるものです。
遠隔読影のように、民間企業やNPO法人などが読影することはできず、あくまでも指定の病院やクリニックでのみ画像の送信・受信・読影が可能です。
医療業界で遠隔読影が注目されている理由
遠隔読影を導入する病院やクリニックは続々と増えており、医療業界で大きな注目を集めています。
すでに遠隔画像診断という制度があるにもかかわらず、なぜ遠隔読影はここまで注目されているのでしょうか。
特に遠隔読影が注目される大きなポイントとして以下の2点が挙げられます。
テクノロジーの進歩
ひとつ目は、テクノロジーが飛躍的に進歩していることが挙げられます。
CTやMRIといった医療画像の撮影技術は年々進化しており、今や医療現場には不可欠な存在です。
高度な撮影技術は病気やケガの診断においてさまざまな情報を提供し、精度の高い検査を可能にしました。
また、ネットワークインフラの普及と回線速度の向上といったIT分野の進歩も欠かせないポイントです。
高画質の医療画像はデータ量も大きいことから、ネットワークインフラの整備が進んだことで遠隔読影が可能になりました。
放射線科医の不足
日本は世界のなかでも医療設備や医療機器の普及率が高く、CTやMRIといった装置を備えた病院・クリニックが数多く存在します。
これらの機器を扱うには専門の知識や技術を有した放射線科医がいなければなりません。
しかし、人手不足が続く日本では放射線科医の数が圧倒的に少なく、機器はあってもそれを扱える人材がいないという医療機関も多いのです。
遠隔読影が導入できれば、放射線科医が常駐していない病院やクリニックでも精度の高い検査および読影が可能になるため、医療業界での注目度は高まっています。
関連記事:遠隔読影サービスとは?必要な機器や導入すべき医療機関の特徴
遠隔読影のメリット・デメリット
遠隔読影を導入することで、どういったメリットがあるのかあらためて整理してみましょう。
また、メリットばかりでなく、デメリットとして考えられるポイントもあわせて紹介します。
メリット
医療機関が遠隔読影を導入するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- ①放射線科医不足の問題を解消
- ②検査装置の有効活用
- ③専門医の診断による主治医の満足度向上
これまでも紹介してきた通り、遠隔読影が導入できれば放射線科医が不在の場合でも正確な読影が可能となります。
病院やクリニックに設置してある検査装置の稼働率を向上し、有効的に活用できることはもちろん、医師不足のなかでも高精度な診断が可能となり患者の満足度向上につながるでしょう。
デメリット
遠隔読影のデメリットを挙げるとすれば、画像診断管理加算の対象とならないことです。
「診療画像」の一部を遠隔読影に依頼することにより、画像診断管理加算の施設基準から外れてしまいます。
一方で、「検診画像」を遠隔読影に依頼することは、「診療画像」の画像診断管理加算における施設基準に影響を及ぼすことはありません。
院内医師の検診読影業務に関する負荷を軽減できるため病院全体の業務効率化にもつながるメリットがあります。
トータルで考えるとメリットのほうが大きい場合も十分にあります。
遠隔読影の料金相場
遠隔読影を導入する場合、毎月どの程度のコストがかかるのでしょうか。
遠隔読影サービスを提供している企業によっても料金はわずかに異なりますが、平均的な相場と内訳を紹介します。
【初期導入費用】
- 5〜10万円程度
【月額基本料金】
- 1〜5万円程度
【読影料金】
- X線読影:500円〜
- CT・MRI・PET読影など:2,000円〜
上記のうち、初期導入費用はインターネット環境やPCなどがあれば不要の場合もあります。
また、読影料金については、ひと月あたりの読影枚数によって割引が適用されるケースもあるようです。
関連記事:遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説
遠隔読影サービスを選ぶ上でのポイント
遠隔読影サービスはさまざまな企業が提供していますが、どういったポイントを念頭に選べば良いのでしょうか。
読影レポートの品質・信頼性
遠隔読影サービスの品質は、正確かつ安定的に信頼性の高い読影レポートが提供できるかが大きなポイントとなります。
そのためには、放射線科医による読影の管理体制がしっかりと構築されていること、及び、読影を担当する医師が不特定多数ではなく特定されていることが重要です。
サービスの提供形式
遠隔読影システムに不可欠なネットワークをどのような形式で提供しているのかも重要なポイントです。
IP-VPN(専用線)といった物理的なネットワーク回線を用意し常時接続するタイプもあれば、インターネット回線さえあればすぐにでも利用できるクラウド型の形式もあります。
クラウド型であれば初期導入費用も抑えられ、システム導入の手間もかかりません。
トラブル対応・サポートの品質
ネットワークを介して読影及び、レポートを発行する遠隔読影は、技術的な問題が発生しネットワークに正常に接続できなくなることもあります。
そのようなトラブルが発生した場合でも、迅速に対応してくれるサービスを選びましょう。
YKR Medical Laboは専門医師とつながる読影プラットフォームを提供
信頼性の高い遠隔読影サービスの導入を検討している医療機関は、YKR Medical Laboのご利用をぜひご検討ください。
YKR Medical Laboは「放射線科読影支援サービス」、「心電図読影支援サービス」、「超音波読影支援サービス」を提供している読影プラットフォームであり、それぞれの分野の専門医師が読影を担当しています。
読影を担当するYKR契約医師は約40名在籍しており、各種診療・検診画像やエコー画像、CT、MRI、PET画像などさまざまな読影に対応。
クラウド型システムのため導入コストも抑えられます。
まとめ
CTやMRI画像データをオンラインで送信し、専門医による画像診断を行う遠隔読影は、深刻化している放射線科医不足の問題を解消するとともに、高度な医療サービスも実現できる画期的なシステムです。
遠隔読影支援サービスはさまざまな事業者で提供していますが、読影レポートの品質や信頼性、トラブル対応及び、サポートが手厚いサービスを選択することが重要です。
どの事業者を選べば良いか分からない不安がある場合には、YKR Medical Laboへぜひご相談ください。
記事監修者紹介
監修者
顧問医 不破 英登
【経歴】
- 2009 愛知医科大学医学部医学科
- 2009 津島市民病院
- 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
- 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
- 2018 豊田若竹病院 放射線科
- 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
- 2021 YKR medical consult 代表就任
【資格】
- 産業医・放射線科診断専門医