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乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査の違い|仕組み・メリットを解説

近年、増加傾向にある乳がんは他のがんと比べて、比較的若い年齢で発症することが多いがんです。

乳がんを見つける代表的な検査としてマンモグラフィー検査がありますが、近年、乳腺超音波検査を実施する施設が増えています。

健診メニュー追加を検討されている施設様も多いのではないでしょうか。

乳腺超音波検査の仕組みとメリットをマンモグラフィー検査と比較しながら、遠隔読影企業/診断医の視点でご説明いたします。

1.乳腺超音波検査の仕組みとは



乳腺超音波検査は、音波を用いた非侵襲的な検査法で、乳房内部の状態を観察するために使用されます。


跳ね返りの音波を受信して、その波形をコンピューターによって画像化することで、内部の組織や器官の状態を見ることができます。


乳腺超音波検査では、超音波プローブを乳房表面に当てて、乳房内部の組織をスキャンします。


プローブから発せられる超音波は、乳房内部の組織の密度や硬さによって反射され、それを受信機が受け取ってコンピューターによって画像化します。


超音波画像は、乳房内部の病変や異常な組織、嚢胞などを発見するために使用されます。


また、乳がん検査のほか、乳房の疾患や症状の原因を調べるためにも使用されます。


乳腺超音波検査は、被ばくの心配がなく、痛みが少ないことから、若い女性や妊娠中の女性にも推奨されます。


また侵襲が低く、簡便であるため、マンモグラフィー検査やMRI検査と併用することが推奨される場合があります。

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2. 乳腺超音波検査のメリット



乳腺超音波検査のメリットには以下のようなものがあります。


被ばくの心配がない

乳腺超音波検査は、X線を使用しないため被ばくの心配がありません。


特に若い女性や妊娠中の女性などの被ばくに敏感な人にとっては安心感があります。


痛みが少ない

マンモグラフィー検査のような挟み込む感覚がないため、痛みが少ないとされています。


高い解像度

乳腺超音波検査は、乳腺組織や嚢胞、腫瘤などを、高い解像度で画像化することができます。


そのため、病変の大きさや位置、形状、組織の性質などを詳細に確認することができます。


検査時間が短い

検査時間は、約10分程度で終了するため、簡単に調べることができます。


併用が可能

マンモグラフィー検査やMRI検査など他の検査との併用が可能で、より正確な診断につながることがあります。


以上のように、乳腺超音波検査は、被ばくの心配がなく痛みが少なく、高い解像度で画像化できるため、早期発見や病変の評価に役立ちます。


また、併用が可能であるため、より正確な診断につながる場合があります。


3.マンモグラフィー検査との違い



マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査は、ともに乳腺の検査に用いられる検査方法ですが、それぞれの違いは以下の通りです。


原理

マンモグラフィー検査は、乳房を圧迫してX線を照射し、その画像を撮影することで乳腺の組織を評価する検査です。


乳腺超音波検査は、超音波を用いて乳腺内部の組織を見ることで異常を検出する検査です。


効果

マンモグラフィー検査は、微小な石灰化の検出に優れており、特に50歳以上の女性においては乳がん検診の基本的な検査法とされています。


乳腺超音波検査は、マンモグラフィーに比べて腫瘍の形状や性質をより詳しく調べることができ、若い女性や乳腺の密度が高い女性においては有効な検査法とされています。


検査方法

マンモグラフィー検査は、乳房を圧迫するために特殊な機械を使用します。


検査時には、女性は上半身裸になり、乳房を機械のプレートに挟み撮影します。


乳腺超音波検査は、プロープにジェルを塗布し、プロープを乳房に当てながら画像を描出します。


乳房は圧迫されず、痛みが発生しにくい検査です。


総じて、マンモグラフィー検査は、乳がんの早期発見に有効な検査であり、乳腺超音波検査は、マンモグラフィー検査と比較して、若い女性や乳腺の密度が高い女性において有効な検査であることが知られています。

ただし、どちらの検査も乳がんの診断には限界があり、必要に応じて追加の検査が必要となる場合もあります。


4.乳腺超音波検査は検診に適しているか



乳腺超音波検査は、乳がんの早期発見に有効な検査方法の1つです。


特に、乳腺が密集している場合や乳がんが小さい場合には、マンモグラフィー検査よりも高い検出率を示す場合があります。


また、マンモグラフィー検査が難しい若い女性や妊娠中の女性、乳房の形状が規則的でない女性などでも、乳腺超音波検査が有効な検査方法とされています。


ただし、乳腺超音波検査は、マンモグラフィー検査と比較して、過剰診断(良性病変を要精査としてしまうこと)が高くなる傾向があるため、健康診断での単独検査よりも、マンモグラフィー検査との併用が推奨されることがあります。


また、マンモグラフィー検査、超音波検査のいずれも、検査者の技量により検査の質が左右されますが、超音波検査の方がより顕著です。


特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する「検診マンモグラフィー撮影認定診療放射線技師」、「乳がん検診超音波検査実施技師」による検査の実施が望まれます。

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5.乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査を検診時に併用するメリット



乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査は、検診時に併用することが可能です。

 

実際に、乳がんの早期発見のためには、マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査を併用することが推奨されています。


マンモグラフィー検査は、X線を用いて乳腺の画像を撮影する検査で、乳がんの早期発見に効果があるとされています。


一方、乳腺超音波検査は、音波を用いて乳腺の内部を観察する検査で、マンモグラフィー検査では検出できなかった乳がんを発見できることもあります。


また、同時に病変の性状評価も可能で、不要な精査や過剰診断を減らすことも可能です。


併用することで、マンモグラフィー検査と乳腺超音波検査の長所を生かすことができ、より精度の高い検査結果が得られるため、両方の検査を受けることが推奨されます。

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6.乳がん検診超音波検査画像を判読する医師に専門資格はあるか


現在、日本には乳腺超音波検査画像に関する専門医資格はありません。


しかし、特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する「乳がん検診超音波検査実施・判定医」という認定医制度はあります。


その他、日本乳癌学会や日本超音波学会などが乳腺超音波講習会を実施しています。


それらを受講することで、乳腺超音波検査画像の専門知識や技術を習得することができます。


これらの資格を持った医師が、乳がん検診の超音波検査画像を読影することが一般的です。


ただし、検診の場合は、資格を持った医師が直接画像を読影するわけではなく、遠隔読影会社に画像を送信して判定を行ってもらうことが一般的です。


遠隔読影も、専門的な知識や技術を持った医師が診断を行うことが求められます。


7.まとめ

乳腺超音波検査は被爆の心配が無く、痛みが少なく、高い解像度があり、検査時間が短いというメリットがあります。


マンモグラフィー検査と比べて腫瘍の形状や性質をより詳しく調べることができ、若い女性や乳腺の密度が高い女性においては有効な検査法です。


ただし、マンモグラフィー検査は、微小な石灰化の検出に優れており、特に50歳以上の女性においては乳がん検診の基本的な検査法と言えます。


2つの検査は併用することが可能で、併用することにより、マンモグラフィー検査のみでは検出できなかった乳癌の発見や、不要な精査や過剰診断を減らすことも可能です。


検診を受けるのであれば、乳がん検診超音波検査実施技師、専門資格/認定医が所属し、適切な精度管理がされている検診施設を選ぶ必要があります。


検診施設が遠隔読影企業に依頼するのであれば、マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査に長けた診断医/認定医が所属しているか確認が必要です。

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8.記事作成者紹介

作成者

放射線診断専門医・指導医 澤田 裕介


保有資格・認定】

  • 放射線科専門医、指導医
  • 放射線科診断専門医、指導医
  • 日本核医学学会専門医、指導医
  • PET核医学認定医
  • アミロイドPET読影認定医
  • 脈管専門医
  • 腹部ステントグラフト実施医、指導医
  • 胸部ステントグラフト基礎経験修了
  • 肺がんCT検診認定医
  • がん検診学会認定医
  • マンモグラフィ読影認定医
  • 乳がん検診超音波検査実施・判定医
  • 弾性ストッキング圧迫療法コンダクター
  • Ai認定医
  • 認知症サポート医
  • 核医学内容療法講習会 修了
  • 難病指定医
  • 臨床研修指導医
  • マイクロスフィア塞栓術実施医
  • 医学博士

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