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肺がんや胃がんの検診で遠隔読影を行うメリットや二重読影を行う理由を解説

近年、予防医療推進のため肺がんや胃がんなどのがん健診が普及しています。一方で、読影スキルや医師不足により予防医療を推進できていない地域や施設も多く存在します。この課題を解消するため、遠隔読影が注目されています。

この記事では胃がん検診における読影補助認定制度、肺がん検診の読影医の条件、遠隔読影のメリット、そして具体的な事例とサービスについて説明します。

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1.肺がんや胃がん検診で遠隔読影で行うメリット

肺がんや胃がん検診における遠隔読影の導入には多くのメリットがあります。

遠隔読影の利点について4つに分けて詳しく説明します。

検診効率の向上

遠隔読影は、画像データを迅速かつ効率的に専門医に送信し評価を受けるため、検診プロセス全体の効率が向上します。

これにより、検診の結果が早く提供され、追加の評価や情報提供を速やかに行うことができます。

専門知識の活用

遠隔読影では、専門的な知識と経験を持つ読影医が画像を評価します。

これにより、高度な専門知識を有する医師の能力を活用でき、正確な診断結果が提供されます。

読影リソースの確保

医師の高齢化、および医師偏在に伴い読影医師の不足が国内医療機関で発生しており、専門性が伴う胃バリウム検査の読影特性などが相まって、予防医療における読影リソースの不足が顕著に表れています。

遠隔読影支援サービスの導入は、読影リソースの不足を直接的に補う効果的な方法です。

不足している特定分野の読影リソースを必要なだけ補うことができ、繁忙期のピークアウト時に効果を発揮します。

複数の専門医による読影

遠隔読影導入をきっかけにダブル読影の運用を検討可能です。

複数の専門医による独立した評価が行われることで誤診や見落としなどのリスクが低減し、正確な結果報告書の作成が可能です。複数の専門医が評価を行うため、診断の一貫性が高まります。

関連記事:遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説

2.肺がんや胃がん検診で遠隔読影で行うデメリット

遠隔読影は読影医師のリソースを補い検診読影の運用を潤滑にすることが出来ますが、一方でデメリットも存在します。

来院して行われる院内読影と比較すると、遠隔読影は前年の結果内容や、血液データを参照することが出来ません。

そのため、院内読影と比較して診断精度が低減する可能性があります。

遠隔読影に画像のみを依頼送信するのではなく、前年の結果や既往歴等の情報を一緒に送信することでデメリットを補うことが出来ます。

関連記事:遠隔画像診断システムの導入に向いている医療機関とは?料金や仕組みを解説

3.肺がん検診の手引きにおける読影医の条件とは

肺がん検診の手引き」は2020年に大幅な改訂が行われました。

内容としては第一読影医、第二読影医ともに検診機関などで開催される「肺がん検診に関する症例検討会や読影講習会」におおむね年1回以上参加することを条件としており、上級医には読影経験も条件としました。

発見例や偽陰性例のレビューを行い、撮影条件や読影診断能の向上に努めるとし、検診に従事する医師の胸部X線画像読影力の向上を図る必要があるとしています。

しかし最終的に委員会では「自分の読影力を上げようと努力し続ける」ことが最も重要であろうと結論付けています。

関連記事:全身がん検査に使われるDWIBS(ドゥイブス)とは?費用や欠点を解説

4.検診でがんが見つかる割合(肺がん・胃がん)

ここで検診で肺がんもしくは胃がんが見つかる割合について解説します。

肺がん

肺がん検診でのがん発見率はおよそ2,000人に1人、割合にすると0.05%で、昔も今もあまり変わっていないそうです。

令和3年度地域保健・健康増進事業報告によると、令和2年に肺がん検診を受けた方は2,773,789人でした。

受診者のうち、1.53%(42,396人)※1の方が要精密検査となり、要精密検査者の1.74%(738人)※1の方から肺がんが発見されました。

疑わしい人は精密検査をしてもらうのが基本的であり、2段階で肺がんを見つける仕組みになっています。

※1 引用:厚生労働省「令和3年度地域保健・健康増進事業報告の概況」令和5年3月30日

胃がん

令和3年度地域保健・健康増進事業報告によると、令和2年に胃がん検診を受けた方は1,237,707人でした。

受診者のうち、6.09%(75,437人)※1の方が要精密検査となり、要精密検査者の1.88%(1417人)※1の方から肺がんが発見されました。

疑わしい人は精密検査をしてもらうのが基本的であり、2段階で胃がんを見つける仕組みになっています。

がん検診を受けていたからこそがんを発見することができます。

受ける時間がない」「健康状態に自信があり必要性を感じない」などの意見もありますが、早期に発見すれば種類によって差はあるものの、約9割は治すことができます。

ぜひこの機会にがん検診を受けましょう。

※1 引用:厚生労働省「令和3年度地域保健・健康増進事業報告の概況」令和5年3月30日

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5.肺がん検診で二重読影を行う意味

一人の読影医による単一読影では見落としリスクが高まるため、二重読影が推奨されています

また、がんは早期に発見されるほど治療成功率が高まります。

二重読影によって、小さな腫瘍や初期のがん病変が見落とされる可能性が低減し、早期発見が促進されます。

二重読影は患者に対して医療の信頼性と安心感を提供し、健康に関する診断プロセスに対する信頼を高める役割を果たします。

患者と医療機関の信頼関係の構築に寄与し、治療効果の向上につながります

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6.胃がん検診における読影補助認定制度とは?

胃がん検診における読影補助認定制度は、がん健診プログラムにおいて画像診断を行う医師に対して、専門的なサポートと評価を提供する制度です。

胃X線検査の精度向上を図りつつ、チーム医療を推進することを目的として、胃がん検診において専門的な技能を持つ専門技師を養成し、彼らを胃がん検診読影の補助を行う技師として認定する制度を設けています。

この読影補助は、胃X線検査の読影において、認定医の指示に基づいて、特定の読影判定基準に従い、技師が読影結果を報告し、読影医の診断を補完するものです。

ただし、胃がん検診の管理区分(精密検査の必要性の判定など)は読影医が行い、最終的な責任は読影医に帰属します。>>YKRの読影支援サービスはこちら


7.検診で遠隔読影を導入した事例紹介

YKRメディカルラボでは今までの導入例を幾つか紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

事例一覧はこちら

関連記事:乳腺超音波検査とマンモグラフィー検査の違い|仕組み・メリットを解説

8.YKR medical labo放射線科読影支援サービスの特徴

YKR medical labo「放射線科読影支援サービス」とは、健診機関に特化した読影支援サービスです。

各医療機関、専門担当医制とし読影精度の安定化を実現しています。

また、健診運用に特化した読影基幹システムを採用しているため、読影支援サービスだけにとどまらず、読影依頼から結果内容の院内取込まで読影運用全体を見据えた提案を期待できます。

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9.記事監修者紹介

監修者

顧問医 不破 英登

【経歴】

  • 2009 愛知医科大学医学部医学科
  • 2009 津島市民病院
  • 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
  • 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
  • 2018 豊田若竹病院 放射線科
  • 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
  • 2021 YKR medical consult 代表就任

【資格】

  • 産業医・放射線科診断専門医

 

 

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