検診を遠隔読影支援サービスで行うメリット、対応できる検診の種類や事例を紹介
目次
検診における医療機関に多い悩み
読影医の人手不足
読影医の業務は非常に専門的かつ責任重大なものであり、検査結果を適切に読影するためには時間と専門性が必要です。
近年、健康意識の向上や医学技術の進歩に伴い、検診の需要が増加しています。
多くの人が健康診断を受けるようになりましたが、その結果、読影医の必要性も高まっているのです。
しかし、その裏側では読影医の高齢化が進んでいます。
高度な技術と経験を要する医師の引退後の急な人員確保は難しく、残された読影医の業務量が増加し、モチベーションの低下や人材の定着率の低下につながっています。
繁忙期と閑散期の差
検診は企業や学校が定期的に実施する健康管理の一環として重要な役割を果たしています。
そのため、特定の時期においては検診の需要が急増し、逆に別の時期には需要が低下するといった繁忙期と閑散期が存在します。
4月から6月にかけては学生健診や入社後健診が行われ、これに伴い、医療機関や検診センターは受診に対応するために繁忙期を迎えるのです。
繁忙期には検診を申し込む企業や学校が急増し、予約が取りづらくなることがあります。
この期間に健康診断の予約が取れない企業が9月から11月に予約するため、実質この期間も繁忙期と言えるでしょう。
その一方で1月から3月にかけては企業や学校が年度初めや新学期の始まりとなる時期であり、検診の需要が低下します。
このため、1年間を通して繁忙期と閑散期の差が大きく存在します。
結果報告書作成期間の短縮
健診機関における評価指標の一つに、健診結果報告書の納期短縮が挙げられます。
精度の良い健診結果報告書を、受診者の手元にいかに早く届けるかを真剣に取り組んでいるのです。
結果報告書の平均納期は地域差によって異なりますが、4週間前後が平均的で、2週間を目標に運用している健診機関もあります。
さらに早いところでは10日を目標としている健診機関や、最近では、当日に結果報告書を受診者に渡すプレミアムドックも流行り始めています。
結果報告書の作成期間を長期化させている要因は様々です。
複数の医師が必要となる画像診断業務が足枷となるケースが多く見受けられます。
主だった画像診断は、胸部X線検査、胃透視検査ですが、それに加えて各種超音波検査、眼底検査、内視鏡検査、胸部CT検査、脳ドックMRIなど健診機関が扱っている画像診断検査は多様です。
各検査それぞれに得意とする医師が違うため、医師を充足できるかが課題となっています。
検診画像診断を遠隔読影支援サービスで行うメリット
読影医の遠隔配置による人手不足の緩和
遠隔読影支援サービスは、医師が物理的に患者のいる地域に常駐する必要がないため、医師が少ない地域や遠隔地にも専門的な読影医を配置することが可能です。
都心から遠い地域ですと、人口がまばらで医療機関が限られている地域では、専門的な読影医の確保が困難です。
遠隔読影支援サービスを活用することで、患者の地域に医師が常駐していなくても、必要な専門性を持った読影医がオンラインでアクセスできます。
これにより、地理的な人手不足が軽減されます。
院内医師と遠隔読影を組み合わせることで繁忙期と閑散期の波をこなせる
検診を遠隔読影支援サービスで行う際、院内医師と遠隔読影を組み合わせることで、繁忙期と閑散期の波に柔軟に対応できるメリットがあります。
繁忙期には学生健診や企業の入社後健診など、多くの検診が集中します。
こうした時期において、院内医師が限られた時間内で多くの読影業務に対応するのは大変ですが、遠隔読影支援サービスを導入することで、迅速かつ正確な読影を行うことが可能です。
一方で閑散期には検診の需要が低下し、院内医師が余裕を持って業務を遂行できることがあります。
この時期には、外部の読影医師の活用を最小限に抑え、依頼件数を調整することで運用コストの最適化が可能です。
YKR medical labo株式会社では最低依頼件数を設けていないため、依頼件数を調整できる柔軟な体制が整っています。
繁忙期と閑散期の依頼件数を調整させることで運用コストを下げることが可能です。
マルチモダリティをカバー
遠隔読影支援サービスを導入する際の大きなメリットの一つは、対応モダリティの幅広さです。
依頼を検討する際、通常は読影医が不足している検査装置の依頼を検討される医療機関が大半ですが、急な医師の休暇などで代務医師が必要な際に、遠隔読影支援サービスが役立ちます。
健診機関によっては、読影医が充足している場合でも遠隔読影支援サービスを契約し緊急時のバックアップとして活用する健診機関も増えています。
遠隔読影会社と契約する際は、どの程度モダリティをカバーしているかの確認が必要です。
導入されたのであれば、緊急時に備えて主だった依頼以外の検査装置を契約しておくことをお薦めします。
検診画像診断を遠隔読影支援サービスで行うデメリット
精度の担保
遠隔読影は受診者の個別の状態や病歴などが直接医師に伝わりにくいため、院内での診断との差が生まれる傾向があります。
さらに毎回ランダムな医師が読影することで、診断の一貫性や精度に関する課題が発生します。
異なる医師が異なる視点で診断を行うことは、患者の健康状態に対する幅広い意見やアプローチを提供できる一方で、一貫性を欠いた診断結果が生じる可能性があるのです。
異なる医師間での診断の一貫性を確保することが不可欠です。
セキュリティのリスク
遠隔読影において、検査データの送信や保存にセキュリティ上のリスクが伴います。
検査データの送信や保存の際に受診者の詳細な診断情報や検査結果が第三者に漏洩する可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。
セキュリティの対策が不十分であれば、これらの機密情報が不正アクセスやデータ漏洩のリスクにさらされる可能性があるため注意が必要です。
医療機関のみならず遠隔読影サービス提供者間でのセキュリティの強固な暗号化、アクセス制御の実施は必要不可欠と言えるでしょう。
ランニングコスト/イニシャルコスト
遠隔読影を導入する際、検討すべき重要な要素の一つが金額です。
遠隔読影会社ごとに異なる月額基本料金や初期導入費用以外にも追加オプションの費用が存在し、慎重な見極めが不可欠です。
ランニングコスト(初期導入費用)は院内で使用しているPCやシステム、設置場所によっては配線工事も必要になってくるでしょう。
さらに押さえたいのがランニングコスト(月額基本料金)です。
初期費用と違い、毎月支払う必要があるため、読影費用と併せて市場単価と年間コスト見積もりを行い、継続的なコスト面での計画を立てることが重要です。
遠隔読影支援サービスで対応できる検診画像
遠隔読影は様々なモダリティ(検査装置)に適用されていますが、各遠隔読影会社や医療機関によって対応可能なモダリティは異なります。
- ・胸部CR
- ・胃部RF
- ・CT/MRI
- ・マンモグラフィー(乳房X線検査)
- ・PET-CT
多くの遠隔読影会社が公式ウェブサイトに記載しているモダリティが上記になります。
また、その他各遠隔会社によって診断可能なモダリティもございます。
- ・DWIBS
- ・乳腺トモセンシス
- ・眼底
- ・心電図
- ・ホルター心電図
- ・各種超音波検査
- ・じん肺
- ・大腸CT
- ・心臓CT
- ・内視鏡検査など
これらのモダリティに関する詳細は、多くの遠隔読影会社が公式ウェブサイトに記載していません。
特定のモダリティに関する具体的な情報や提供情報は、企業の営業担当者やお問合せが最も確実な手段といえるでしょう。
関連記事:遠隔読影サービスとは?必要な機器や導入すべき医療機関の特徴
検診で遠隔読影支援サービスに適した医療機関の特徴
巡回健診バスを運用している医療機関
巡回健診バスを運用している医療機関は、特有の課題に対処しながら、患者のスムーズな検診を実現しています。
この運営形態では通常、一度に多くの患者の撮影が行われ、その翌日にまとまった読影の依頼が発生するのです。
その結果として大量の検査データが生まれます。
前項でも記載しましたが、健診機関における評価指標の一つに、健診結果報告書の納期短縮が挙げられます。
特に健診の場合、結果報告書は手書きの紙レポートでの作成が指定といった地域が多くあるために、大量に送られてくる検査結果の読影は容易ではありません。
これに迅速かつ確実に対応するため、周辺の医師会の先生に協力を仰ぎ、読影作業に協力いただきます。
YKR medical labo株式会社では、手書きレポートの読影も対応可能であり、検診バスごとに依頼可能な束依頼機能がございます。
サービスメニューを増やしたい健診機関
現在の読影モダリティに加えてオプションメニューを加えたい場合、オプションメニュー拡充を目的とした読影医の新規雇用や、読影管理に伴う運用コストを考えると、遠隔読影支援サービスは運用コスト・導入ハードルが低いため、多くの健診機関が導入しています。
遠隔読影会社には各種専門医が充足しており特殊検査にも対応可能です。
検査数が急増した場合でもスムーズに対応できます。
必要なタイミングで各種専門医による読影サービスを利用できるため、読影医の新規雇用や、読影管理に伴う運用コストに関する負担を軽減できます。
遠隔読影支援サービスをオプションメニューの拡充にお役立てください。
二重読影の体制を整えたい医療機関
二重読影は、二人の専門医師が同じ検査データを独立して評価し、高い診断精度を確保する手法です。
通常、診断の速さと精度を両立させる手法として使われます。
この手法はダブルチェックとも言われ、“ヒューマンエラーはゼロにはできない”ということから始まった読影精度向上策です。
二重読影にはオーバーリーディングとブラインドリーディングの2種類あります。
オーバーリーディングとは、一次読影を行った医師の結果を基に、別の医師が二次読影を行います。
その結果に基づいて、二次読影医は補完的な評価を行い、確認や追加の意見を提供するものです。
一次読影者の結果が既知であるため、二次読影はその結果を参考に進めることが可能です。
また、二次読影医が特異度に長けていることが求められます。
ブラインドリーディングとは、二人の読影医に同時に依頼し、一次読影医の結果を伏せたまま、独立した医師が二次読影を行います。
結果を開示しないため、二次読影者は独自の診断を行うのです。
この方式では、予め他の医師の意見に影響されないため、客観的な評価が期待されます。
(参考日本人間ドック学会 | 上部消化管Ⅹ線健診判定マニュアル (ningen-dock.jp))
検診で遠隔読影を導入した事例紹介
自治体から指定された指定用紙読影でお悩みの院内検診に特化したクリニック様の事例
→愛知県内 健診センター様 導入事例 – YKR Medical Labo | 『新たな遠隔読影領域を創出する』 (ykr-medical.jp)
導入によって業務の複雑化や負担増加を懸念していた病院併設健診センター様の事例
→健診システムに読影レポートを自動返却 – YKR Medical Labo | 『新たな遠隔読影領域を創出する』 (ykr-medical.jp)
YKR medical laboは健診に特化した遠隔読影支援サービスを提供
検診領域に特化した遠隔読影支援サービスを提供しています。
特に、巡回健診向けの読影依頼機能が強みで、複数の検査をまとめて依頼することが可能です。
検診依頼の際などに便利です。
詳しくは是非弊社HPをご覧ください。
読影医による 遠隔読影・読影診断支援サービス|YKR Medical Labo (ykr-medical.jp)
記事監修者紹介
監修者
顧問医 不破 英登
【経歴】
- 2009 愛知医科大学医学部医学科
- 2009 津島市民病院
- 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
- 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
- 2018 豊田若竹病院 放射線科
- 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
- 2021 YKR medical consult 代表就任
【資格】
- 産業医・放射線科診断専門医