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遠隔画像診断支援サービスとは?導入費用や遠隔読影との違いを解説

遠隔画像診断は、専門医が離れた場所から画像診断を行う医療サービスで、診療報酬の対象にもなります。

また、導入には費用や施設基準の理解が必要であり、遠隔読影との違いも制度上明確です。

本記事では、遠隔画像診断の導入費用の目安や遠隔読影との違い、また、「遠隔画像診断管理加算」の算定条件、施設基準などについてもわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること

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目次

遠隔画像診断支援サービスとは

遠隔画像診断とは、医療機関で撮影されたCTやMRIなどの医用画像をネットワーク経由で遠隔地の診断センターへ送信し、厚生局へ届出を行った遠隔画像診断施設の専門医が診断結果を返却する医療サービスです。

遠隔読影が所見の提供にとどまるのに対し、遠隔画像診断は診断行為そのものを外部に委託する制度上の仕組みであり、診療報酬では「遠隔画像診断管理加算」の対象となります。

専門医の確保が難しい地域医療機関などでも診断体制を構築できるため、迅速かつ高精度な診断の実現により、業務効率や診療の質の向上に寄与します。

なお、画像データの送受信には、高度なセキュリティ対策が施された通信回線の使用が必須です。

遠隔画像診断支援サービスの導入費用とコスト構造

遠隔画像診断支援サービスを導入する際、初期費用や運用コストは判断材料として非常に重要です。

このセクションでは、「遠隔画像診断」と「遠隔読影」のコスト構造の違いを整理し、それぞれの費用目安や投資回収の視点をわかりやすく解説します。

導入費用を考えるうえでの前提条件と注意点

費用感を正しく把握するためには、以下の点を理解しておくことが重要です。

  • 医療機関の規模や既存設備(例:PACSの有無)によって、初期導入費用は大きく変動します。
  • 契約形態(従量課金/定額制)や、対象モダリティ(CT/MRI/X線など)によっても価格体系は異なります。
  • VPNの構築レベルやクラウド保存の有無など、セキュリティ要件もコストに直結します。
  • 多くのサービスは法人ごとの個別見積もりとなっており、標準的な定価設定がないのが一般的です。

遠隔画像診断と遠隔読影のコスト構造の違い

項目遠隔画像診断遠隔読影
導入費用システム構築費、VPN整備、届出対応などが必要(約50〜150万円)必要最低限の画像送信環境で導入可能(〜50万円)
継続費用月額契約または症例単価(2,000〜5,000円)+保守費用症例単価(1,000〜3,000円)または月額契約(数万円〜)
届出・制度対応厚生局への届出・施設基準の準拠が必要届出不要。契約ベースで柔軟に運用可能
診療報酬の対象「遠隔画像診断管理加算」等で算定可能原則として診療報酬の算定は不可
投資対効果診療報酬収入により初期投資の回収が可能収益性は限定的。業務効率や医師負担軽減が主目的

遠隔画像診断支援サービスの費用目安(初期費用・運用コスト)

初期費用の例(参考)

費用項目概算金額(目安)補足
システム構築費50~100万円PACS連携・画像送受信システムの整備など
VPN・通信回線整備10~30万円セキュリティ要件に応じて設計
保存システム10~20万円画像保存用ストレージ(クラウドまたはローカル)
導入サポート数万円~トレーニング・設定支援など

運用コストの例(参考)

費用項目概算金額(目安)補足
読影委託費1症例あたり2,000〜5,000円CT・MRIの部位・モダリティにより異なる
通信費・保守費月額数千~1万円前後VPN使用料・システム保守費
月額基本料金(定額制)月3万〜10万円症例数に応じて変動あり

※ 上記はあくまで参考例であり、実際の費用は契約内容・施設環境により大きく異なります。

費用対効果と投資回収の考え方

遠隔画像診断の導入により、常勤放射線科医の確保が不要となり、人的リソースや医師の負担を抑えることが可能になります。

また、CT・MRIなどの画像診断機器の稼働率向上にもつながるため、診療体制の効率化と精度の両立が図れます。

さらに、「遠隔画像診断管理加算」などの診療報酬の算定により、初期投資を2〜3年以内で回収できるケースも実際に見られます。

一方、遠隔読影は収益化というよりも、コストを抑えながら専門医の知見を取り入れる手段として活用されるケースが多く、地域医療連携や医師不足対策として柔軟に活用できるメリットがあります。

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遠隔画像診断と遠隔読影の違いをわかりやすく解説

まずは、両者の制度的・実務的な違いを一覧表で整理します。

項目遠隔画像診断遠隔読影
医療行為としての位置づけ保険診療として認められる医療行為診療補助としての扱い(診療行為に該当しないことが多い)
診断責任の所在読影内容の責任は外部専門医/診療判断の責任は依頼医全体の診療責任は依頼医が負う
診療報酬「遠隔画像診断管理加算」などの算定が可能原則として診療報酬の対象外
届出の有無厚生局への届出が必要(施設基準あり)届出不要
返却内容診断報告書(診断結果を含む)所見レポート(助言的な内容)
活用目的正式な診断体制の構築所見の補助・セカンドオピニオンなど

遠隔画像診断は、厚生局に届出を行った医療機関の専門医が読影・診断報告を行う制度上認められた医療行為であり、「遠隔画像診断管理加算」などの診療報酬の対象となります。

読影報告書の記載内容に関する責任は遠隔診断を行う医師にありますが、最終的な診療判断や責任は依頼医に帰属します。

一方、遠隔読影は診療補助的な立場で行われることが多く、診断行為そのものとはみなされません。

そのため、診療報酬の対象にはならず、返却されるのは主に助言的な所見レポートです。

導入にあたっては、制度要件・報酬の可否・責任分担の明確化などを考慮し、自施設の運用目的に合った形式を選択することが重要です。

また、遠隔画像診断を実施するためには、読影医の資格や施設側の体制整備(専用の画像通信回線や保存システムなど)も求められます。

制度面の要件を満たすことで、初めて診療報酬の算定が可能となります。

遠隔画像診断に関連する診療報酬と算定条件

遠隔画像診断は、制度上も診療報酬の対象とされており、条件を満たせば「画像診断管理加算(1〜3)」などを算定できます。

このセクションでは、診療報酬上の位置づけと加算の概要、算定要件、注意点について整理します。

診療報酬上の位置づけと対象となる加算

遠隔画像診断は、保険診療として制度上認められた医療行為であり、所定の施設基準と届出要件を満たすことで、診療報酬の加算対象となります。

主な加算として「画像診断管理加算(1~3)」があり、これは放射線科医などがCTやMRI等の画像診断について読影・管理を行った場合に算定できる加算です。

ちなみに、遠隔画像診断であっても、体制と運用が整っていれば、これらの加算を算定することが可能です。

なお、加算の算定は、依頼元の医療機関(=画像提供側)が行う形となります。

「遠隔画像診断管理加算」の算定要件と具体的な点数

2024年度診療報酬点数表では、以下のように定められています。

加算区分点数(2024年改定)主な対象施設・要件
画像診断管理加算170点/月1回放射線科医の配置、PACSの導入など基本体制を満たす施設
画像診断管理加算2175点/月1回CTまたはMRIの読影結果を、翌診療日までに報告できる体制
画像診断管理加算3300点/月1回夜間・休日も含めた24時間体制の構築(主に中核病院向け)

いずれも月1回が上限であり、加算1〜3はいずれか1つのみ算定可能です。

算定にあたっての注意点と算定不可のケース

以下の点に留意が必要です。

  • 厚生局への事前の届出および施設基準の遵守が必須です。届出がない状態では加算は算定できません。
  • 遠隔読影サービス(助言・所見のみ)では、制度上の加算対象とはなりません。
  • 診断責任が遠隔医に明確に委託され、正式な診断報告書が返却される体制が必要です。
  • 外部読影会社の所見レポートをそのまま使用するだけのケースでは、診療報酬の加算要件を満たさない可能性があります。
  • 常勤医の配置や報告速度など、実際の運用体制が施設基準を満たしていない場合も、算定は認められません。
  • 画像診断管理加算1〜3は併算定不可であり、1つのみ月1回までの算定となります。

制度に基づく適切な算定を行うためには、加算の要件と自院の体制を照らし合わせ、届出・体制整備・読影運用の3点を制度準拠で整えることが不可欠です。

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遠隔画像診断に必要な施設基準と導入要件

遠隔画像診断による診療報酬算定には、厚生労働省が定めた施設基準の遵守届出の実施が不可欠です。

このセクションでは、施設基準の概要、必要な体制・設備、そしてセキュリティや個人情報保護への対応について、医療機関の導入担当者向けにわかりやすく整理します。

厚生労働省が定める施設基準の概要

遠隔画像診断を実施するためには、画像の提供元(送信側)と診断を行う側(受信側)の両方が、所定の施設基準を満たし、地方厚生局への届出を行う必要があります。

区分主な基準内容
送信側(撮影施設)・CTやMRIなどの画像撮影装置を保有し、
・画像送受信に必要なシステム・回線を整備していること
・読影は届出済の保険医療機関に限り、再委託を行わないこと
受信側(診断施設)保険医療機関であること
放射線科を標榜し、常勤の画像診断医を配置していること
・画像診断管理加算1~3に応じた読影・報告体制を整えていること

※加算1~3の算定には、それぞれに対応する診断体制(報告期限、夜間対応など)を構築する必要があります。

ちなみに、届出の対象は基本的に「受信側(診断機関)」ですが、送信側についても再委託の有無や通信体制を含め、要件を満たしている必要があります。

届出や運用に必要な体制・設備

遠隔画像診断による診療報酬を算定するには、以下のような体制整備と文書管理が求められます。

  • 厚生労働省指定の届出様式(様式34および35)により、地方厚生局に届出を提出
  • 運用マニュアルや業務フローを整備し、読影体制や常勤医師の勤務状況を文書で管理
  • 読影報告のスピード(例:加算2では翌診療日まで)を確認・記録できる体制
  • 届出後も、常勤医の退職や体制変更があった場合は、速やかに変更届出が必要

ちなみに、施設基準は「一度届出すれば終わり」ではなく、維持・更新・変更時の対応も制度上義務付けられています。適正な運用が継続されていなければ、加算の算定が認められない可能性があります。

セキュリティ・個人情報保護への対応

遠隔画像診断では、医用画像をインターネット経由で送受信するため、医療情報の安全管理が重要です。

厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第6.0版)」に基づき、以下の対応が求められます。

技術的対策の例

  • VPNや閉域網による暗号化通信
  • 端末ごとのアクセス権限設定
  • 操作ログの取得と保管
  • 利用者識別・認証(ID/PW、ICカード等)

組織的対策の例

  • セキュリティポリシーの策定
  • 委託業者との契約における責任範囲の明確化
  • 情報漏えい発生時の対応フロー整備

また、遠隔読影サービスにおいて外部の読影医やクラウドサーバを利用する場合には、以下の点にも注意が必要です。

  • 第三者提供に該当する場合は、個人情報保護法に基づき、本人の明示的な同意取得と記録管理が必要です。
  • 業務委託に該当する場合は、守秘義務を含む契約の締結および委託先に対する適切な監督が求められます。

このように、データの授受形態が「第三者提供」か「委託」かによって求められる措置は異なります。導入にあたっては、自院の運用形態に応じた法的整理と体制整備が重要です。

以上が、遠隔画像診断を制度に則って実施・運用するために必要な施設基準・体制・セキュリティ対策の要点です。

導入前には、自院の体制が施設基準を満たしているか、必要な整備・人材確保・書類対応が可能かを確認し、届出~運用~監査対応までを見越した設計を行うことが不可欠です。

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遠隔画像診断支援サービス(遠隔読影支援サービス)の導入事例

遠隔画像診断支援サービス(遠隔読影支援サービス)を実際に導入した主な事例をご紹介します。

導入事例①:東北地方・クリニック

項目内容
地域東北地方
医療機関種別クリニック
読影依頼内容MMG(マンモグラフィ)
導入前の課題– 読影医の人手不足により納期が不安定
– 郵送依頼による手間と時間
– ダブル読影で1か月以上かかることも
導入の決め手– 読影医の専門性と安定した納品体制
– 緊急性が低い検査でも納期を確保できる点
– 納品スピードと品質に納得し導入を決定
導入後の効果– 郵送作業が不要になり、毎日の依頼が可能に
– 所見のばらつきが減り、担当医制で一貫性向上
「まるで医師が一人増えたかのような」院内体制の強化
– MMG読影医は全員ASまたはA判定の認定医で安心

⇒東北地方・クリニックの導入事例の詳しい記事はこちら

導入事例②:西日本・診療所

項目内容
地域西日本
医療機関種別診療所
読影依頼内容胃部RF
導入前の課題– 読影医の急病で診療体制が崩壊の危機
– 代替手段がなく、診断・治療に支障が出る恐れ
導入の決め手– 以前説明を受けており、理解と判断がスムーズだった
– 担当者の迅速な訪問により即時導入が可能だった
導入後の効果診療に混乱が生じず、体制を維持できた
– 複数医による診断体制で品質とスピードを確保
「何かあっても大丈夫」という安心感を得られた

⇒西日本・診療所の導入事例の詳しい記事はこちら

導入事例③:関東地方・病院

項目内容
地域関東地方
医療機関種別病院
読影依頼内容胸部/眼底/DWIBS
導入前の課題– 読影費が高騰し、病院全体の経費を圧迫
– コスト削減が急務だった
導入の決め手– 健診部門をYKRに変更、診療部門は従来継続
– 柔軟な2社併用体制でリスク分散が可能だった
導入後の効果– 健診部門の読影コストを大幅に削減
– 品質も維持され、現場からも高評価
– 検診拡充にも耐えうる持続可能な体制が整った

⇒関東地方・病院の導入事例の詳しい記事はこちら

導入事例④:関西地方・健診センター

項目内容
地域関西地方
医療機関種別健診センター
読影依頼内容胸部CR/じん肺/US
導入前の課題– 慢性的な医師不足で業務が逼迫
– 導入検討はされていたが実行されず、負担が深刻化
導入の決め手– 営業説明で導入効果に確信を持ち決断
– 医師の負担軽減と業務安定化を期待
導入後の効果– 読影が安定し、業務がスムーズに
– スタッフの負担軽減、職場環境の改善にも寄与

⇒関西地方・健診センターの導入事例の詳しい記事はこちら

導入事例⑤:東海地方・クリニック

項目内容
地域東海地方
医療機関種別クリニック
読影依頼内容胸部CR
導入前の課題– 放射線科医の不足と受診者増加により返却が遅延
– 複数社の比較に迷い、決断に至らなかった
導入の決め手– 放射線科以外の領域にも対応できる将来性を評価
– モダリティ対応の広さが安心材料となった
導入後の効果– 読影納期が従来の1/3以下に短縮
– 他科からの依頼も検討されるなど導入効果が波及

⇒東海地方・クリニックの導入事例の詳しい記事はこちら

遠隔画像診断支援サービスならYKR medical laboにご相談ください

遠隔画像診断支援サービスを利用するためには、CTやMRIといった医療機器、専用のITシステムや高セキュリティの通信ネットワークなども整備しなければなりません。

現在、遠隔画像診断サービスの導入を検討している、または、導入が可能かお悩みでしたら、ぜひ一度YKR medical laboへご相談ください。

YKR medical laboでは医療機関向け遠隔画像診断支援サービスを提供しており、40名以上からなる各診療科の読影医が診断を行っております。

また、CTやMRI画像の診断には、1枚単位で課金されるサービスも少なくありません。

しかし、YKR medical laboではそのような課金の仕組みは採用しておらず、部位やスライス数無制限で依頼が可能です。

さらに、MRIを活用した最新のがん検査「DWIBS」にも対応しており、DWIBS検査の読影医が不在の医療機関でも高度な医療サービスを提供できます。

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まとめ

遠隔画像診断や遠隔読影の導入は、医師不足・読影遅延・コスト増といった多くの医療機関が抱える課題に対して、現実的かつ効果的な解決策となります。

本記事で紹介した5つの事例では、診療所や病院、健診センターなど異なる規模・用途の施設が、それぞれのニーズに応じた形で制度対応・納期短縮・品質担保を実現していました。

導入の決め手として共通していたのは、「診療体制の維持・安定」や「担当者の迅速な対応」への信頼です。

読影業務を外部に委託しながらも、まるで院内に専任医が増えたかのような安心感と効率性を得た各施設の実例は、これから導入を検討する医療機関にとって大きな参考になるでしょう。

記事監修者紹介

監修者

顧問医 不破 英登

【経歴】

  • 2009 愛知医科大学医学部医学科
  • 2009 津島市民病院
  • 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
  • 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
  • 2018 豊田若竹病院 放射線科
  • 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
  • 2021 YKR medical consult 代表就任

【資格】

  • 産業医・放射線科診断専門医

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