マンモグラフィの読影医とは?認定試験の合格率やランクについて解説
乳がんを早期発見し治療につなげるために、マンモグラフィ検診を受ける女性は年々増加しています。
X線によって画像を撮影するマンモグラフィ検診は、正確な診断を行うために読影のスキルが求められることから、読影医のニーズが高まっています。
本記事では、マンモグラフィ読影医とはどういった役割を果たすのか、認定されるための条件なども詳しく解説します。
目次
マンモグラフィ読影医とは
マンモグラフィ読影医とは、乳腺X線検査(マンモグラフィ)で撮影した画像を読み解き、乳がんなどの診断を行う専門医のことを指します。
NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が認定しており、マンモグラフィ読影医になるためには以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 医師免許を持っていること
- 2日間の講習を受けること
- 講習後に実施される試験に合格すること
放射線診断専門医などの専門医の資格を取得するためには、数年単位の研修を受ける必要がありますが、マンモグラフィ読影医の場合は最低2日間の講習となっています。
また、学会における研究発表などの条件は特に定められていません。
ただし、講習後に実施される専門医試験に合格することが条件として定められています。
そのため、誰でも簡単に認定を受けられるものではなく、高度な知識と専門性が求められます。
マンモグラフィ読影医の重要性
マンモグラフィ読影医の認定はほかの専門医に比べて歴史は短く、制度が運用されてから十数年しか経っていません。
見方を変えれば、マンモグラフィ読影医のニーズが急速に高まっていることの現れでもあります。
乳がんの患者数は1900年代半ばから増加し続けており、2019年のデータでは女性の罹患数が97,142人に達しています。
部位別のがん罹患数を比較してみても、二位の大腸がん(67,753人)を大きく引き離しトップとなっています。
乳がんは初期症状が分かりづらく、また触診や視診だけでは精度の高い診断が難しいです。
こうして、乳腺エコーやX線によるマンモグラフィ検査が本格的に導入されることとなりました。
しかし、マンモグラフィ検査によってX線画像を撮影しても、それを読み解くだけの知識や経験がなければ正確な診断を行うことができません。
そこで、乳がんの早期発見と適切な治療につなげるためにマンモグラフィ読影医は欠かせない存在といえるのです。
マンモグラフィ読影医にはランクがある?
一口にマンモグラフィ読影医といってもさまざまなランクが存在します。
どのようにランクは決定されるのか、それぞれのランクの違いもあわせて紹介しましょう。
A~Dまでの4段階評価
マンモグラフィ読影医を認定しているマンモグラフィ検診精度管理中央委員会では、試験評価に応じてA・B・C・Dの4段階にランクを設定しています。
Aランク:検診マンモグラフィ読影と指導の実力がある
Bランク:検診マンモグラフィ読影の実力がある
Cランク:指導医とともにマンモグラフィ読影ができる
Dランク:読影を始める前に基礎の学習を要する
試験の成績が良好なA・Bのランクの医師は「検診マンモグラフィ読影医師」または「撮影診療放射線技師・医師」と認定されます。
ランクアップ試験に受験可能
残念ながら試験結果が芳しくなく、Bランク以下に認定された場合であっても、6ヶ月以上の臨床経験を積んだ後にランクアップ試験を受験することも可能です。
また、資格更新制度が設けられているため、一度資格を認定されたからといって生涯有効ではありません。
5年に1回の頻度で、講習の受講と試験に合格することが義務付けられています。
マンモグラフィ読影医のAS評価とは?
マンモグラフィ読影医の認定試験でAランクを得た人のなかで、最上位の医師は「AS」とよばれる特別な評価を得ることができます。
これはAランクと同様に「検診マンモグラフィ読影と指導の実力がある」ことの証明ですが、それだけでなく読影指導医としても認定されます。
具体的には、Aランクに認定されるために「感度90%以上」「特異度92%以上」という基準があります。
AS評価を得るためには「C感度85%以上」という条件も追加されます。
試験の受験者数によっても割合は異なりますが、AS評価を取得できるのは上位2割から3割程度に限られます。
遠隔読影ならYKR medical laboまでご相談ください
マンモグラフィ読影医になるために、多くの医師が講習会を受講し試験に挑戦しており、徐々に第一線で活躍する医師は増え続けています。
しかし、それでも読影医の数は十分とはいえず、医療機関によってはマンモグラフィのX線撮影ができても読影に対応できないというケースは珍しくありません。
さらにマンモグラフィ検診以外に視点を広げてみると、CTやMRIの検査画像を読影できる専門医も圧倒的に不足している状況です。
このような医療現場が抱える課題を解決するために「遠隔読影サービス」が注目されています。
これはマンモグラフィやCT、MRIなどの検査機器で撮影した画像データを、インターネット回線によって専門医に読影してもらうという医療機関向けのサービスです。
読影医が常駐していない医療機関でも正確な読影が可能となり、地方と都市部における医療格差の是正にもつながると期待されています。
YKR medical laboではマンモグラフィやCT、MRIなどさまざまな検査に対応した遠隔読影サービスを提供しています。
約40名の読影医が検査画像を確認し、レポートとして報告することができます。
まとめ
乳がんの早期発見や治療につなげるためにはこまめな検査が不可欠であり、マンモグラフィ検診を受ける女性は増加しています。
しかし、X線画像を撮影しただけで正確な診断ができるとは限らず、読影の知見と経験をもった専門医は不可欠です。
マンモグラフィ読影医は最低2日間の講習受講と試験に合格することで認定を受けられるため、受講する医師も少しずつ増えています。
しかし、それでもマンモグラフィ読影医が足りている状況とはいえないため、医療現場の課題を解決する手段として遠隔読影サービスが注目されています。
記事監修者紹介
監修者
顧問医 不破 英登
【経歴】
- 2009 愛知医科大学医学部医学科
- 2009 津島市民病院
- 2011 名古屋第二赤十字病院 放射線科
- 2016 名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 助教
- 2018 豊田若竹病院 放射線科
- 2019 YKR medical labo株式会社 顧問医就任
- 2021 YKR medical consult 代表就任
【資格】
- 産業医・放射線科診断専門医