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巡回健診における遠隔読影導入の効果

巡回健診を実施する医療機関においては、効率的な業務運用と高精度な読影が極めて重要な要素となります。

近年の医療現場では、健診の受診者数が増加している一方で、スタッフの負担を軽減しながら高品質なサービスを提供することが求められています。

本記事では、遠隔読影導入をご検討中の施設様向けに、現状の具体的な運用方法から導入による効果をわかりやすくご紹介します。

巡回健診の1日の流れ(遠隔読影未導入)

巡回健診当日は、事前準備、健診の実施、結果の報告に至るまで、すべての工程をスムーズに進行させることが求められます。 

事前準備 

巡回健診当日のスムーズな運営のためには、事前の機器確認が重要です。

バス内に常設されている胸部および胃部X線装置等、健診に使用するすべての機器が正常に動作するかを一つひとつ丁寧にチェックします。

撮影機器に不具合があると、その日の健診業務に大きな支障をきたすため、念入りな確認が求められます。 

健診実施

各撮影機器で自動発番されるフィルム番号を確認し、同番号を受診票にナンバリングの押印や転記をしていきます。

この作業は正確性が求められ、後のデータマッチング作業や結果報告において重要な基盤となるため、細心の注意を払って進める必要があります。  

撮影画像データの確認/保存

健診が終了した後は、すべての撮影データに漏れや欠損がないかを確認します。

万が一、撮影データの一部が記録されていない場合、帰社後では再撮影が困難になることもあるため、丁寧な確認作業が欠かせません。

問題がなければ、撮影データを専用メディア(DVDやUSB等)に保存し、施設に持ち帰る準備を整えます。

マッチング/PACSへ画像登録 

施設へ戻った後、撮影データを健診システム上の受診者情報とマッチングさせる作業を行います。

正しくマッチングされたデータはPACSに登録され、院内のモニター等で画像閲覧が可能となります。

万が一撮影データと受診者情報にズレがあると、別の受診者とマッチングしてしまう可能性があります。

撮影時に細心の注意を払うのは、このためと言えます。

データの読影・診断 

画像がPACSに登録された後は、所見記載用紙の準備をし、院内医師に読影を依頼します。

スタッフが読影業務以外でも多忙な医師のスケジュールを確認し、読影補助として読影立ち合いや画像の表示、診断記録の介助をし、読影を行います。

結果入力 

院内医師によって記載された診断内容を、健診システムに入力していきます。

入力作業においては、診断結果に誤りや記載漏れがないかを細かくチェックしながら進めていきます。

医師記載の診断結果には、ドイツ語・英語や略語等の記載が多いため専門用語の読解や字体の癖等を把握しなければならないため属人性を生みやすい作業になります。

最終的な報告書の精度を確保するためにも、この作業の正確さが結果返却の品質を左右します。 

健診結果の返却

すべての受診者に対する診断結果が揃った段階で、最終的な結果報告書をまとめ、受診者や企業宛に返却します。

返却は、受診日から約10日〜2週間以内を目安とし、迅速かつ正確な返却対応を行います。  

遠隔読影導入後のメリット

今回の記事では遠隔読影導入後のメリットを二つ紹介させていただきます。

院内読影の負担軽減

遠隔読影を導入することで、院内の限られた医師にすべての読影業務が集中する事態を防ぐことができます。

読影依頼を外部に振り分けることで、院内で対応すべき件数をあらかじめ調整・制御することが可能となります。

医師の業務量を計画的に管理できる点は大きなメリットです。

また、院内読影医の専門科以外の部位の依頼や診断に迷う所見についても、遠隔読影を通じて各科の専門医による助言を得られるメリットもあります。

これらのメリットは診断の補助や所見の正確性の向上にもつながります。

スタッフの負担軽減

遠隔画像診断導入する場合、以下の作業負担を軽減することが出来ます。

  • 医師のスケジュール管理
  • 所見記載用紙の準備
  • 画像表示の介助
  • 診断記録の介助
  • 医師記載文字の解読
  • 診断結果の入力

遠隔読影ではシステムを介して所見の入力を行うことで、記載時の漏れやミスをなくすことが出来ます。

また、返却後の結果を取り込むことが可能になるので入力のミスをなくし、正確な診断結果をスムーズに受診者へ伝えることに直結します。

その他遠隔読影導入時のメリット・デメリットについてはこちら

検診を遠隔読影支援サービスで行うメリット、対応できる検診の種類や事例を紹介 | YKR Medical Labo | 『新たな遠隔読影領域を創出する』

注意点(遠隔読影導入時)

DICOMデータ化の徹底 

遠隔読影では、画像データを医療標準フォーマットであるDICOM形式に変換して送信する必要があります。

DICOM化されていないデータはシステム上で取り扱うことができず、読影依頼が成立しません。

機器の設定や運用フローを整え、常にDICOM形式で画像を取り出す体制を整えることが前提となります。 

DICOMタグ情報の管理

遠隔読影の運用ではDICOMタグの情報を用いて管理することが一般的であり、その中でもよく使われているものが「アクセッションNo(受付番号)」タグ情報:「(0008,0050)Accession Number」です。

多くの施設では撮影データと受診者情報を一意に紐づける際に、このタグに日付やフィルム番号の情報を集約し、患者ID以外の管理をしています。

遠隔読影を導入する際には、タグ情報の重複や整合性に十分注意し、割り振りルールを明確にしておく必要があります。

※YKRメディカルラボ株式会社の読影システム【Radi-Dock】ではアクセッションNo(受付番号)を主に用います。

まとめ

遠隔読影の導入は、巡回健診における読影業務の効率化と診断精度の向上を実現し、医師やスタッフの負担を軽減する有効な手段です。

DICOM形式への統一やDICOM情報の管理など、導入に際してはいくつか注意点もありますが、業務全体の精度とスピードが飛躍的に向上します。

今後の健診体制の安定化に向け、導入の検討価値は高いといえます。

現状の院内体制で安定した運用ができている医療機関にとっても、将来的な業務の見直しや改善の一助として、本記事の情報が参考になれば幸いです。

弊社システム【Radi-Dock】では、便利な依頼機能を搭載しています。

【束依頼機能】

企業単位や健診バス単位で一括依頼をかけることが出来る束依機能があり、依頼管理の効率化が図れます。また、束ごとに帳票出力が可能です。

【指定所見コード登録】

同一モダリティ下で複数の所見コードを設定することが可能です。

企業や健保団体等、独自の所見コードがある場合も依頼単位で使い分けることが可能になるため施設様で所見の変換が不要になります。

【指定ファイル出力機能】

結果出力形式は、PDFとCSVの2種を標準搭載しており、健診システムにCSVデータを一括インポートすることが可能です。入力業務の大幅な効率化が図れます。

※XML出力も可能

また、オプションにはなりますが、依頼情報連携、DICOM接続、レポート連携も可能です。

健診結果を効率的に管理できるコードレポート機能を標準搭載しています。

多数の受診者対応をする健診機関様の運用に適しています。

是非、業務負担軽減に、各専門科の医師が多く所属している弊社にお任せください。

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